被団協 代表委員に田中重光氏 総会で選出 故谷口氏の後任

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は14日に東京都内で開いた総会で、長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(77)を代表委員に選出した。前任の谷口稜曄(すみてる)氏(長崎被災協前会長)が昨年8月30日に死去後、代表委員3人のうち1人は空席だった。
 代表委員のうち、長崎で被爆した田中熙巳(てるみ)氏(86)、広島県原爆被害者団体協議会理事長の坪井直氏(93)は留任した。
 田中重光氏は4歳の時に爆心地から6キロの西彼時津村(現時津町)で被爆。1985年に長崎被災協の矢の平支部設立に携わってから本格的に被爆者運動に取り組み始めた。2016年に長崎被災協の副会長、昨年10月に谷口氏の後任として会長に就任。本総会を前に、代表委員の選出にあたり長崎被災協の推薦を受けていた。
 田中重光氏は総会後の記者会見で「自分に務まるだろうか、また忙しくなり身動きできるんだろうかという思いでいっぱい」と心境を率直に語った。谷口氏について「核廃絶を一生懸けてやってきたのは、あの苦しみを他の人に味わわせたくないという気持ちからだったと思う」と功績をたたえ、「被爆者は年を取って少なくなっている。被団協の基本的な方針は実現していないので、微力たりとも頑張っていく」と述べた。

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