音色楽しみ ギター作り15年

 自分だけの音色を求めて—。倉敷市で内科医院を開業する安原尚藏さん(72)が、趣味で始めたアコースティックギター作りを15年間続けている。限られた製作時間の中、材料からこだわり抜いた作品は5本。「製作中は日常から解放され、全てを忘れて熱中できる」と新作に向かっている。

 きっかけは、開業から約15年を経た2001年。多忙の中でリラックスできる時間を求めていたとき、バイオリン製作のテレビ番組を目にした。高校時代に親しんだギターの自作に興味が湧き、インターネットで知った徳島県の教室に2年間通って技術を習得。03年から自宅近くの工房で製作を始めた。

 ギターは弦を張るネック、表板、側板などが主な部位。木材を切って複雑な形に成形し、接着剤で圧着していく。削りや接合の作業は「ミリ単位。微妙なずれが音に影響するだけに大変」と話す。

 中でも、こだわりと遊び心を込めるのが材料。錦帯橋(山口県)の橋桁の廃材や桂浜(高知県)で拾った流木も使用。「1本1本にストーリーがあって面白いでしょ」とほほ笑む。製作中の6本目にも、自宅の雨戸(杉)と千光寺(早島町早島)の大師堂の廃材(桜)を使っている。

 作業は休日や仕事の合間に少しずつ進めるため、1本の完成に約3年かかる。とにかく根気が要るが「音色を聴いたときの感動は何カ月も続くほど」と苦にならない。作品は大切に手元に置いており、時折弾くのを楽しむほか、ギター仲間と福祉施設の慰問に出掛けて自分だけの音を披露している。

 「完成が近づくと音色を想像してうきうきする。ギター作りからエネルギーをもらえる」と安原さん。「高音が柔らかく響くギターを作りたい」。それが次の夢という。

©株式会社山陽新聞社

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