史上初の珍事も ヤクルト交流戦VでもMVP選ばれず、賞金も2位が上?

現在、交流戦首位に立つヤクルト・小川監督【写真:荒川祐史】

交流戦MVPは勝ち越しリーグの勝率1位球団から選ばれると規定されている

 日本のプロ野球は交流戦がいよいよ終盤戦に差し掛かってきた。雨天中止の代替試合が残ってはいるものの、きょう15日からのカードが各球団最後のカードに。いよいよ交流戦最高勝率球団、勝ち越しリーグを争う戦いが決着の時を迎えることになる。

 今季はここまでヤクルトが11勝3敗の貯金8で首位。2ゲーム差の2位に9勝5敗のオリックスがつけ、3ゲーム差の8勝6敗で西武、ロッテ、ソフトバンクが追いかけている。6位の日本ハムまでは14試合を消化し、各チームが残り4試合。15日の結果次第では、ヤクルトの最高勝率チームが決定する。

 セ・パのリーグ間の対戦成績は現在44勝40敗でパ・リーグが4つの勝ち越しとなっている。ここで、だ。今季の交流戦では、過去の交流戦では無かった史上初めての、とある“ねじれ現象”が起こる可能性が出てきているのだ。

 今季で14シーズン目を迎えたセ・パ交流戦。これまでの13回中12回でパ・リーグが勝ち越し、うち11回でパ・リーグ球団が最高勝率チーム(2014年までは優勝チーム)に輝いている。2014年までは優勝チームからMVPが選ばれることになっており、13回の歴史の中で、唯一パ・リーグが勝ち越しながらセ・リーグの巨人が優勝した2014年もMVPは亀井善行が選ばれていた。

現状のままであれば、ヤクルトVも、MVPはオリックスから

 それが、今季はこれまでに無かった“珍事”が起きるかもしれないのだ。ここまで交流戦首位はセ・リーグのヤクルトだが、勝ち越しているのはパ・リーグだ。このまま決着となった場合、交流戦MVPはヤクルトからは選ばれない。

 2015年から「交流戦MVP」は勝ち越しリーグの勝率1位球団から選出すると定められている。現状の順位に照らし合わせると、ヤクルトからではなく、2位のオリックス、例えば吉田正尚や金子千尋、山本由伸、増井浩俊らから選ばれることになるのだ。

 さらには各球団に与えられる賞金額にも“ねじれ”が生まれる。このままいくと、ヤクルトに贈られるのは勝率1位チームへの賞金500万円。だが、2位のオリックスは勝ち越しリーグの勝率1位球団として1000万円を、3位の西武にはヤクルトと同額の500万円を得ることになる。2014年までは優勝チームに3000万円だったが、2015年から変更された。

 NPBはセ・パのリーグ間の争いを演出したいようだが、ファンや選手にとっては贔屓の球団が勝ち、同一リーグの他球団が全て負けることがペナントレースを戦う上で“最もオイシイ”展開。同一リーグの球団が勝てば勝つほど、順位に与える影響が小さくなってしまう。その思惑とは裏腹に、ファンにとってはリーグ間の争いはさほど重要ではないのが実状でもある。

 勝率1位球団になっても、MVPは選ばれずに、賞金額も2位より低額…。そうなれば、なんともスッキリしない結末となってしまうだろう。

(Full-Count編集部)

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