トヨタ、ル・マンで4度目のポール獲得。「一貴は最高のアタックをやってのけた」と可夢偉

 WEC世界耐久選手権の2018/19年シーズン第2戦として行われる『第86回ル・マン24時間レース』は6月14日、予選2回目と3回目が行われ、LMP1クラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingは中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミ組8号車トヨタTS050ハイブリッドがポールポジションを獲得。またマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組の7号車トヨタTS050ハイブリッドが総合2番手につけ、16日の決勝をともにグリッド最前列からスタートすることとなった。

 合計3回のセッション内の最速ラップで、決勝のスターティンググリッドが決定するル・マンの予選。予選1回目が行われた前日に続き、14日は19時からの予選2回目と、22時からの予選3回目がそれぞれ2時間ずつ実施される予定だった。

 しかし、予選2回目はセッション序盤からコースの至るところでアクシデントが発生し、イエローフラッグや時速80キロの速度規制を強いるスローゾーンが幾度となく出されたほか、赤旗も提示されるなどタイムアップが難しい状況に。

 さらに終盤にはユノディエールに置かれるひとつめのシケインでLMP2マシンが大クラッシュを喫したことで、24分を残して赤旗中断、そのままセッション終了となっている。

 予選2回目の早期終了にともない急遽、開始時間が30分早められた予選3回目がスタートすると8号車トヨタに一貴、7号車トヨタには可夢偉が乗り込み、ともにタイムアタックを開始する。

 最初にアタックに入った一貴は、アウトラップで他クラスのマシンを交わしクリアラップを取ることに成功。このラップで従来のベストタイムを2秒近く更新する3分15秒377を叩き出し、自身2度目のポールポジション獲得をぐっと近づけた。

 一方、一貴に続いて計測3周目にアタックをかけた可夢偉は、運悪くコース後半のセクションでトラフィックに捕まり予選1回目で記録した3分17秒377を上回れず。その後サーキットには雨粒が落ち始めたため、これ以上のタイムアップは望めない展開となった。

 この結果8号車トヨタが第86回大会のポールポジションを獲得するとともに、7号車トヨタが2番手に続いたことでTOYOTA GAZOO Racingが決勝スターティンググリッドの最前列を独占している。

 なお、トヨタは降雨の影響で多くのチームが走行を見送るなかでも走行を続け、各ドライバーがレインコンディションでのフィーリングを確認するなど、決勝レースに向けて最後まで入念な準備に取り組んでいた。

■アロンソ「TS050ハイブリッドは最高の状態」

最終フォードシケインからホームストレートに入っていく8号車トヨタTS050ハイブリッド
フロントロウ2番手からスタートする7号車トヨタTS050ハイブリッド
フェルナンド・アロンソと“ル・マンの帝王”ことジャッキー・イクス
7号車トヨタTS050ハイブリッドの予選アタックは小林可夢偉が務めた

「今日の予選はあまり混雑のない状況で全力でアタックでき、思いどおりのラップタイムを刻むことができたので、とても満足しています」とキャリア2度目のポール獲得を喜ぶ一貴。

「サーキットの路面状態も昨日よりも良好で気持ち良くアタックできました。車両のバランスもとても良くなったので、決勝レースに向けても大いに期待できます」と自信を覗かせた。

 ポールマシンをシェアするブエミは「ポールポジションはとてもうれしいけど、最大目標であるレースの優勝に向けてさらに集中しなければならない。僕たちはこの週末のために1年間準備をしてきたし、やるべきことはわかっているよ」とコメント。

 またアロンソも「24時間レースにとって予選はそんなに重要でないことはわかっていても、今日のワン・ツーという結果は本当にうれしいよ! 一貴のラップタイムは素晴らしく、ポールポジションに相応しいものだった」とチームメイトを賞賛した。

「ただ、レースはまだ何も始まっていないから、今日の結果はただの準備に過ぎないとも言える。しかしながら、僕たちクルマは最高の状態に仕上がっていて、決勝レースに向けては準備万端だ」

 2番手スタートが決まった7号車のクルーもポールを獲得した一貴を祝福した。

「8号車がポールポジションを獲得したことは、チーム全体にとって素晴らしい結果です」とコンウェイが語れば、2度目のル・マン参戦となるロペスも「チームにとって最高の予選結果」とコメントしている。

 7号車トヨタのアタッカーを努めた可夢偉もまた「2台のトヨタが揃って最前列からル・マンのスタートを切れるというのは素晴らしいです。最高のアタックをやってのけた一貴には『おめでとう』と言いたいですね」とチームメイトであると同時にレースでは“最大のライバル”となる僚友に祝意を表した。

 その上でこれまでのフリープラクティス、3回の予選を振り返り「チームの全員、エンジニア、メカニック、そしてドライバーがともに最強の車両を作るために準備を続けてきたことで、出だしからまったくトラブルなくレースウイークを過ごしています。2日間ここまでこれだけ多くの周回をこなしてきましたので、決勝レースでも良い戦いができるよう期待しています」と意気込みを語っている。

 15日(金)はコースでの走行予定がないが、各チームは決勝に向けてマシンの整備に追われることとなる。その一方、ドライバーたちは25万人もの観衆が集う恒例のドライバーパレードに参加しファンとの交流を楽しむ予定だ。それが終われば、いよいよ16日(土)は決勝日。朝のウォームアップでマシンの最終確認を行い、15時の決勝スタートを待つこととなる。

7号車トヨタの予選アタッカーを務めた小林可夢偉
ウェットコンディションのなか走行する8号車トヨタTS050ハイブリッド
フェルナンド・アロンソ(左)と中嶋一貴(右)
7号車トヨタTS050ハイブリッド

© 株式会社三栄