小田急好調 複々線化3カ月 乗降客が増加

 小田急電鉄(東京都新宿区)の上下線を2本ずつとする「複々線」が完成し、新ダイヤでの運転が始まって16日で3カ月。小田急線の4月の1日平均乗降人員は前年同月比0・9%増を記録するなど、滑り出しは好調だ。ピーク時の列車の増発や、混雑緩和の効果が表れ始めている。

 「小田急は混んでいて遅いという負のイメージがあったが、快適、便利、スピーディーとイメージ転換した。新しい小田急のスタートだ」。5月下旬、「長期ビジョン2020」などの説明会で、星野晃司社長は「悲願」の複々線化をこう評価した。

 17年度の鉄道輸送人員は前年度比0・8%増だったが、18年度は2・4%増を見込む。鉄道利用客は約1千820万人もアップする計算だ。

 神奈川県内主要駅の4月の1日平均乗降人員は、海老名が前年同月比2・3%増。うち通勤定期は1・6%増だった。新しく快速急行が止まることで新宿までの所要時間が最大9分も短縮した登戸は、定期外が5・1%増と引っ張り、全体は1・4%増。東京都内では新宿が2・0%増を記録した。

 全線平均だと通勤定期は0・9%増と微増だったものの、定期外は1・6%増と大きく伸びた。星野社長は「(通勤)定期は使っていないが、お出かけの時などお試しで乗る人が多いのでは。小田急は良かった、じゃあ通勤でも(乗る)、という動きが出てくるのではないか」と分析。定期利用の拡大を期待する。

 同社の長期ビジョン2020では、複々線効果による鉄道利用客の増加などを見込んで、20年度に運輸業の「50億円程度プラスアルファの増収」を予想している。

 今後は、引退が決まっている特急ロマンスカー・LSE(7000形)の臨時運行など営業企画を強化するほか、通勤ラッシュ時の分散乗車を促すなどして快適な乗車環境づくりを進める。小田急の担当者は「複々線の効果を分かりやすくPRしていきたい」と話している。

複々線化し、列車の増発と混雑緩和を実現した小田急線

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