「海のない県」に離島産品 長崎県と地域商社 日光、春日部で秋以降に試食商談会など計画

 長崎県は五島、対馬、壱岐、新上五島、北松小値賀の5市町の地域商社と一緒に栃木県日光市や埼玉県春日部市に、離島産品を売り込む事業を計画している。昨年度、埼玉県秩父市で開いた試食商談会などで魚介類や酒類などをPRし、好評を得たため「海のない県」への販路を広げる狙いだ。
 国境離島新法によって輸送コストが軽減されたため空輸がしやすくなり、昨年11月から離島で水揚げされた鮮魚を翌日中に関東圏の飲食店などに届けられるようになった。長崎県や地域商社は秩父市で昨年10月、約20店舗の飲食店を集めた試食商談会を開き、今年2月には地域イベント「ウイスキー祭」に出店。取り組みを評価した秩父商工会議所の幹部らが春日部市や日光市の経済人につないでくれたという。
 秋以降に両市で試食商談会を開いたり、地域イベントに出店する方向で調整中。魚を詰め合わせた「鮮魚ボックス」、五島うどん、対馬のアナゴ商品、壱岐の焼酎などを売り込む予定。
 長崎県は2016年度から宅急便業者と連携し、島の鮮魚などを都会の飲食店に配送するプロジェクトを始めた。このプロジェクトを含め、長崎県は島外店舗への離島産品の売上高を19年度には10億円にする目標を掲げている。だが、2016年度は1100万円、2017年度も9千万円にとどまっており、「海のない県」をターゲットに巻き返しを図る。長崎県地域づくり推進課は「海のない県への取り組みをきっかけに具体的な取引を拡大したい」としている。

離島産品の販売を繰り広げた秩父市内での地域イベント=2月18日(長崎県提供)

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