「民泊」全国でスタート 新法の手続き「かなり煩雑」との声も

 住宅に有料で客を泊める「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日施行され、長崎県内でも長崎、佐世保など5市町の計9カ所が長崎県に届け出を受理され、営業できるようになった。同日、長崎市内の1カ所を訪ねた。
 閑静な住宅街にある一軒家。家主の男性は、日当たりが良く、きれいなベッドを置いた客間を見せてくれた。民泊用の部屋だ。宿泊料は1泊2千円とし、受け入れは最大2人(一組)まで。今月中に米国人留学生2人を受け入れる予定があるという。「民泊をする理由は国際交流」と男性。数年前から複数の留学生をホームステイで受け入れた経験があり、英語も話せる。
 しかし新法の手続きは「かなり煩雑」。長崎県庁や長崎市役所、法務局を回り、多様な書類を用意し、防炎カーテンも取り付けた。近隣住民や自治会関係者に民泊を始めることを伝えて回り、理解を得た。政府は訪日客の受け皿として民泊に期待するが、男性は「手続きの難しさから民泊はさほど増えないのでは」と推し量る。
 長崎県によると9カ所の市町別内訳は長崎、佐世保が各3、大村、雲仙、東彼杵が各1。ほかに5カ所の届け出書もチェック中。計14カ所すべてが「家主居住型」で「家主不在型」はない。不在型の管理を請け負う住宅宿泊管理業者の登録は長崎県内では2件しかないという。
 長崎県生活衛生課は「宿泊客の選択肢を増やしたいが、民泊は適正に運営をしてほしい」としている。

民泊営業が可能になった住宅で、客の宿泊のため用意されている部屋=長崎県長崎市内

© 株式会社長崎新聞社