【MLB】元広島ヘーゲンズが米紙に語った“カープファン愛”「彼らはどんな状況でも…」

昨季まで2年間、広島でプレーしたブレイディン・ヘーゲンズ【写真:荒川祐史】

現在はDバックス傘下3Aでプレーする右腕「日本のファンはより親切だ」

 昨季まで2年間、広島でプレーしたブレイディン・ヘーゲンズ投手は現在、ダイヤモンドバックス傘下3Aリノ・エーシズでプレーしている。今季12試合登板(7先発)で2勝3敗、防御率6.75。やや苦戦しているものの、2014年以来となるメジャーのマウンドを目指して奮闘中だ。

 そんな29歳の右腕にとって、日本での経験はかけがえのないものだったという。地元紙「リノ・ガゼット・ジャーナル」が「エーシズの投手・ヘーゲンスにとって日本での経験は学びの場となった」とのタイトルで特集を掲載。本人が同紙の取材に応じ、2年間を過ごした日本、そして広島ファンへの“愛情”を明かしている。

 記事では、ヘーゲンズが日本で最初に気づいたことが「尊敬」だったと紹介。日本のファンは皮肉やヤジよりも、試合を楽しむことに重きを置いていると語ったという。当然、日米の文化の違いには驚いたといい、「カルチャーショックがある。日本人はとても歓迎するんだ。日本のファンはより親切だ」と振り返っている。

「日本では試合へのスピリットと応援することがより大切なんだ。アメリカでは、連続でボールを8球投げたとしても、ストライクを投げるとすぐに、観客は歓声を上げる。日本では、そんなこと関係がないんだ。どんな状況でも彼らは応援する。ヤジる人はいないんだ。選手が良いプレーができるように、いつでも応援するんだ」

 本人のコメントからは、広島ファンへの深い愛情が伝わってくる。特集では「彼は異なる文化を経験する機会は、見逃すのが惜しいくらい良い機会であったと語った」とも紹介。ヘーゲンズが日本の文化に触れたことをポジティブに捉えていることも分かる。そして、球場で強く感じた「尊敬」は、日頃の生活の中にも溢れていたという。

ヘーゲンズが日本でのプレーで得たもの「体の使い方がより効率的になった」

「アメリカでは尊敬することを教えられるが、多くの人は実践していない。日本では、尊敬を大事にしている。誰と話しても、自分より年上の人ならば、敬意を払うんだ。それはアメリカでは失われてしまった文化であり、日本でとても良いと思ったことなんだ」

 ヘーゲンズは、日本では英語を話す人が多かったため、言葉でそれほど苦労したことはなかったとも言及。一方で、レストランのメニューで日本語を学ぶことができたとも振り返ったという。

 2016年は50試合登板(6先発)で7勝5敗、防御率2.92の好成績を残し、25年ぶりのリーグ制覇に貢献したヘーゲンズ。しかし、2017年は11試合の登板にとどまり、防御率6.60と苦戦してシーズン後に自由契約となった。それでも、日本ではより効率的に投げることを学び、それを今季の投球に生かしているという。

「以前はワインドアップとモーションが少し安定していなかった。全力で投げる投手だった。以前アメリカでプレーしていた時は、88~92マイル(約142~148キロ)の球を投げていた。今もそうだが、体の使い方がより効率的になり、制御して、投球もよりコントロールできている」

 今季の防御率は決して良くないものの、自身の投球には確かな手応えを感じている様子。結果につながっていけば、4年ぶりのメジャー復帰も見えてくる。日本での経験を生かし、大きなステップを踏みたいところだ。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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