松井秀喜氏が野球教室開催 次世代に伝えたい野球愛「もっと続けてほしい」

野球教室を開催し、打撃投手を務めた松井秀喜氏【写真:編集部】

豪快な柵越えに子供たちは歓喜

 ヤンキースGM付特別アドバイザーの松井秀喜氏が16日(日本時間17日)、ニュージャージー州にある傘下2Aトレントン本拠地で野球教室を開催した。

 真夏のような青空の下、子供たちの笑顔が弾けた。7歳から12歳の子供たち37人を対象に行われた野球教室では、松井氏自身が打撃投手を買って出る場面も。ストライクが入らないと「my bad(悪い、僕のせいだ)」、子供たちがヒットを放つと「attaboy(いいぞ)」と英語で声を掛け、それぞれの子供のレベルに合わせて“ピッチング”。「教える難しさはないですけど、投げるスピードを変える難しさはありますね」と苦笑いした。

 最後に松井氏自身がバットを握り、現役時代を彷彿とさせる豪快なスイングを披露。最後の12スイング目がライトフェンスを越える柵越えアーチとなると、子供たちの大歓声に包まれながら笑顔を弾けさせた。

 子供たちの笑顔が、次回開催の原動力にもなる。この日も、野球経験の少ない子供が何度も空振りをした末、ようやく1球バットに当てると、自分のことのように喜んだ。「やれなかったことが急にできたり、そういうことが、この年齢の選手たちはある。そういうことが目の前で起きると嬉しいですよ、やっぱり」と目を細める。7月14日には、日本の関東地区でも野球教室を開催する予定だ。

指導法は「人それぞれあっていい」、指導者に望むことはただ一つ

 子供たちが野球を好きだという気持ちを失わないようにすること。その1点だけを指導者たちに望んでいる。

「やっていて面白くないとね。試合になると、それは勝ったり負けたり、打ったり打てなかったりっていうのはあるから、日々の練習の中でこれが試合につながる(からやろう)とか、やっぱり野球は楽しいとか、そういうことだと思いますけど。でも、指導法は人それぞれあっていいと思いますよ。

 子供もみんなそれぞれ違うし。やっぱりジェネレーションによって、ある程度傾向はあるでしょうけど、それぞれの指導法があっていいんじゃないかと思います。僕から指導者にこうした方がいいっていうのはないですけど、好きっていう気持ちがないと続かないですから」

 引退後に「(子供たちに)野球を好きになって、もっともっと続けてほしいということだけ」というシンプルな気持ちが軸となって生まれた「Matsui 55 Baseball Foundation」は、年々野球教室の実施回数を増やしたり、今年からはフィリピンや米国などの野球チームに用具を寄付し始めるなど、活動の幅を広げている。現役を退いた今でも、野球を好きという気持ちを変わらず持つ松井氏。「こうやって縁あって触れ合って子供たちには、これから先も頑張ってもらいたいなって思います」と、次世代に野球愛を引き継いでいく。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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