「安倍が悪あがきしている」北朝鮮メディアが安倍首相を集中攻撃

北朝鮮メディアは最近、関係改善に向かっている米国と韓国に対する非難を控える一方、日本に対しては容赦なく罵詈雑言をぶつけている。

とくに、安倍晋三首相に対する攻撃が目立つ。

金正恩氏の恨み

たとえば北朝鮮の内閣などの機関紙・民主朝鮮は16日、「崖っぷちに追いやられる安倍の政治的生命」と題した署名入りの解説記事を掲載。「森友・加計」問題で窮地に立たされた日本の安倍氏の近況を批判的に伝え、「安倍はどうにかして責任を免れようと悪あがきをしている」などと書いた。

朝鮮中央通信のウェブサイトで検索したところ、同通信と労働新聞、民主朝鮮は今年に入り計18回、タイトルに安倍氏の名前を掲げた批判記事を出している。これは、トランプ米大統領の計15回を上回る数字だ。ちなみに、文在寅韓国大統領はゼロである。

北朝鮮が安倍氏を憎悪するのは、安倍政権が日本人拉致問題で圧力を加えているからだけではない。

政治犯収容所での拷問や公開処刑など、北朝鮮における人権侵害の実態を世界に告発したのは、2014年3月17日に国連人権理事会に提出された「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の最終報告書だ。

北朝鮮はその後、金正恩党委員長が「人道に対する罪」を問われる可能性が取り沙汰されるなど、国際社会から厳しい追及を受けることになった。そして、そのCOIは2013年3月、ジュネーブで開かれた第22回人権理事会が、日本の安倍政権と欧州連合(EU)の共同提案による決議に基づいて設置したものなのだ。

金正恩氏は情け容赦ない恐怖政治によって、自らの権力を維持している。だから、国民に対する人権侵害を止めることなどできない。

つまり安倍氏は金正恩氏にとって、解決不可能な無理難題を吹っかけてきた憎き敵であるというわけだ。

北朝鮮は今後も、日本政府と安倍氏に対する非難を強める可能性が高い。そしてそれは間違いなく、同国のメディア戦略を直接指揮する金正恩氏の指示によるものだ。

安倍氏は関係各省庁に対し、日朝首脳会談を近いうちに実現すべく調整を指示したとされるが、果たしてうまく行くかどうか。

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