金属行人(6月18日付)

 商習慣の改善・適正化をめぐって鉄筋棒鋼業界が揺れている。JFE条鋼、合同製鉄は取引期間を最長1年とする方針のほか、共英製鋼も「商社などと協議して適正な商取引に移行していく」方針だ。一方で「契約期間を決めるのは難しい」「1年以上の長期契約もメーカー・リスクを承知の上で契約するのだから、今のままでいい」とするメーカーもある▼商社・流通も「契約期間を決めるも決めないも、メーカーの責任。われわれはメーカーごとの意向に沿って淡々と商売するだけ」と行方を見守っている▼鉄筋の取引は、倉入れが基本の形鋼などと異なり、鉄筋加工業者や工事現場に直送されるものが大勢。契約期間も半年や1年以内が多いが、1年以上にわたる契約が「全体の2割ほどある」と商社ではみる。案件によって納期にゼネコンや流通が製品を引き取らないケースや、期間中に原料の鉄スクラップ価格が高騰して当初の契約価格では赤字出荷になるケース。さらに長期契約では納期や取引価格が不明瞭なケースもあるという▼こうしたリスクをメーカーだけが負うのはいかがかと商習慣の適正化に各社が動きだした。メーカー全社が足並みをそろえれば適正化が進むが、時間がかかりそうだ。

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