世界最古のクラシック・レーベル、ドイツ・グラモフォンが創立120周年を祝う“DG120”キャンペーンをスター

1898年創立、今年120周年を迎えた世界最古のクラシック専門レーベル、ドイツ・グラモフォンが120周年を記念してクラシックをより身近にする世界的キャンペーン“DG120”をスタートさせることを発表した。

“DG120”では世界各地でのガラ・コンサートや、最先端のクラブでクラシックを楽しむ“イエロー・ラウンジ”の開催、最初期の1900年代に録音された音源のデジタル化や、記念BOXセットのリリースなど、様々な取り組みを行なっていく。

以下はベルリン在住の音楽評論家、中田 千穂子氏による、ベルリンでの“DG120”ローンチ・イベントのレポートとなる。

ドイツ・グラモフォン創立120周年記念ローンチ・イベントとイエロー・ラウンジ

世界で最も古く最も有名なクラシック専門レーベルであるドイツ・グラモフォンの創立120周年記念ローンチ・イベントが6月11日17時から、世界各国のクラシック音楽界の著名人や報道陣等約200名を招いて、ベルリンのクロイツベルクに在るクラブ“カーター・ブラウ”で催された。ドイツ・グラモフォンの社長Dr.クレメンス・トラウトマンが挨拶に立ち、「クラシック音楽にとって現在は緊迫した時局に直面しています。それ故、この度の創立120周年に当たり、クラシック音楽の力と美しさを全世界の可能な限り多くの人々に近づける事が重要です。黄色のレーベル・マークの発明家は民衆にインスピレーションを与える為に新しいテクノロジーを用いました。これを私たちは我々の芸術家たちと一緒に結び付けるのです。“DG120”キャンペーンは従来の、そして未来の聴衆にも適用出来ます。我々の世界的な運動にGoogle Arts & Culture、フォルクスワーゲン グループそして更なる国際的なパートナーから支援を頂いている事を私共は大変嬉しく思っております」と述べると、会場から熱い拍手が起こった。入念に考案したプログラムは非常に規律ある行動と催しを約束すると同時にレーベルのアーカイブに保管されている珍品や注目すべき新しい作品シリーズ等で世界中の音楽愛好家を夢中にさせる事、請け合いである。

© Stephan Hoederath / DG 左:ダニエル・ロザコヴィッチ(ヴァイオリニスト) 右:メナヘム・プレスラー(ピアニスト)

ディナーの後、21時から“イエロー・ラウンジ“が始まった。若者たちとテクノ・ビート音楽とDJセットとVJの映像が目まぐるしく飛び交う会場でのクラシック音楽会。最初に御年94歳のメナヘム・プレスラーがドビュッシーの「月の光」を演奏。今年3月にドイツ・グラモフォンからこのCDがリリースされた。30分の休憩後、17才の天才的なヴァイオリン奏者ダニエル・ロザコヴィッチがバッハの無伴奏パルティ―タ第2番を演奏。このCDも6月にドイツ・グラモフォンからリリースされたばかり。終演後暫くの静寂を破って熱狂的な喝采が起こった。
中田 千穂子 (音楽評論家 / ベルリン在住) 

日本でもこの記念すべき年を祝うべく創立120周年記念特別サイトを公開、年間を通じて多数の記念リリースを行なっている。

さらに日本独自に、広告、雑誌、書籍、アパレルブランドとのコラボレーションなど幅広い分野で活動するイラストレーター長場雄氏が描き下ろした新しいレーベル・ロゴをメイン・イメージとしたドイツ・グラモフォンのセカンド・ラインwebサイト「Yellow Lounge」が本日より公開された。

現在、同サイトにはミレニアル世代の指揮者であり、クラシカルDJとしての顔も持つ水野蒼生が同世代の若者に向けてキュレートしたクラシック・プレイリスト“Flavor of Classics”が展開されており、今後は、クラシックにまつわる漫画作品、ミックス音源など、「クラシックの入り口」となるようなコンテンツが随時アップされていく予定である。さらに、クラブで一流のクラシック演奏を気軽に聴くイベントとして、ドイツ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨークなど欧米各地で話題になっているイエロー・ラウンジが2018年9月に東京で開催されることも決定した。

■今回のローンチ・イベントでのイエロー・ラウンジのストリーミング映像
メナヘム・プレスラー 
ダニエル・ロザコヴィッ 

© ユニバーサル ミュージック合同会社