押さないのは日本人だけ?コールボタンの大切な役割と活用術

コールボタンでわかる日本人の国民性

国際線に乗務していましたが、日本人のお客さまはコールボタンを押す頻度が低いイメージです。

海外の方の中には、コールボタンを知らない、場所が分からない方も多くいらっしゃいましたが、知っていて押さないというのは日本人のお客さまの特徴ではないでしょうか?

筆者が勤めていた会社では、日本線に乗務するためには特別な研修が必要です。

研修では、日本人のお客さまは控えめであまり気持ちをおっしゃらないので、より注意するようにと教わります。

しかし、CAたちはどんな些細なことでも、用事がある時は遠慮なくコールボタンを押して呼んでいただきたいと思っています。

コールボタンで分かる国民性の違いと、海外のお客様の利用例、また、コールボタンの重要性をお話します。

 

喉が渇いた!でコールボタン

長距離路線のフライトでは、お食事のサービスの後に機内の照明を落としますが、少なくても30分に1度はドリンクのサービスを行います。

CAは、お飲みものをサービスしながら、お客さまの様子を伺ったり、客室の温度は快適か、怪しいお客さまはいらっしゃらないか、異音や異臭はしないか、確認しています。

日本人のお客さまは、このサービス時にトレーに乗っている冷たいジュースやお水などのソフトドリンクをお手に取ります。

喉が渇いたなと思っても、「もうすぐサービスに来るかな?」と待ってくださっているのではないでしょうか。

外国人のお客さまは、よく、「コーヒーが飲みたい」「紅茶が飲みたい」と、いつでもコールボタンを押しておっしゃってくださいます。

どうぞ、遠慮なく、飲みたい時に飲みたいものをお申しつけいただいて大丈夫ですよ!

 

体感温度でコールボタン

快適な機内の温度を心がけてはいますが、感じ方には個人差があるのでどうしても全員をご満足させることは難しいんです。

また、温度設定は、路線によって違います。

例えば、イギリス人のお客さまは暑がりな方が多いので、ロンドン線の温度設定は低めです。

客室責任者の経験にもよりますが、日本人のお客さまはどちらかというと肌寒さを感じる人が多いように感じるので、高めの温度設定にしていました。

CAもできるだけお客さまの目線で、と気をつけてはいますが、動き回っているため、お客さまより体温が上がっているので、気づけないことも。

肌寒く感じる時も、なかなか言えない方も多いと思いますが、そんな時もコールボタンでCAを呼び出していただいて大丈夫です!

機内では、ブランケットはもちろん、温かいお飲みものやスープなどもご用意しております。

 

あとどれくらい?が知りたくてコールボタン

「着陸までどれくらい?」、「次の食事まではあと何時間?」、と時間を尋ねられるお客さまは非常に多いです。

日本人お客さまは、例えば着陸までの時間など、CAに尋ねずスクリーンで確認されることが多いです。

せっかくなので、是非、CAにお声がけください。

CAは、行先でのおすすめをご紹介いただいたり、お客さまの旅の思い出を伺ったり、おしゃべりが大好きです。

そんな会話のきっかけにもなりますよ!

 

 

コールボタンでことなきを得る

コールボタンが鳴ると、まずは緊急事態を考えて、できるだけ早く対応します。

訓練で、そう教わります。

機内は、気圧の関係や時差、乾燥で、地上にいる時よりも体調が変わりやすいので、注意が必要です。

例えば、いつもの量のアルコールを摂取しても、機内では酔いやすくなってしまいます。

お隣のお客さまが気づいてコールボタンを押して知らせてくださって事なきを得たことも。

コールボタンには、少しでも調子が悪い時に遠慮なくCAを呼ぶための大切な役割があります。

 

コールボタンにはちゃんと意味がある 

日本人のお客さまで、CAが通りがかった時に、エプロンや腕に触れたり、通路に手を出して引きとめる方がいらっしゃいます。

声をかけるのを躊躇されてのことだと思いますが、CAはとても驚きますし、CAの国籍によってはそれが罪になることもあるので注意が必要です。

コールボタンを押していただくと、その座席エリアの担当が伺います。

歩いているCAは、別のクラスやエリアの担当だったり、何か用事があって歩いていることも。

例えば、用事があって後方から前方に歩いているCAがお客さまに呼び止められても、エリア担当のCAにインターフォンで電話をしてお客さまの対応をしてもらう、なんてこともあります。

ですので、どんな些細なことでも、用事がある時は遠慮なく押して呼んでいただいて大丈夫なのです。

快適なフライトを過ごすためにも、ぜひコールボタンを上手に活用してくださいね。

 

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