アサイ=「日本移民の町」とアピール=伝統の第75回品評会開催=「旭城」で観光客呼び込み

品評会で行われた盆踊りの様子

 アサイ文化連合会(中川武宣会長)は「第75回農産品評会」を今月8~10日、パラナ州アサイ市の「トヨサブロウ・イケダ・イベントセンター」で開催した。同市は日本人が開拓して戦後にはコーヒーや棉で栄えたが、70年代以降は人口減少が続く。市は観光業に注力していて、先月開城した「旭城」や食のイベントなどで「日本移民の町」をアピール。町の活性化に力を注ぐ。

 アサイの町は1932年、ブラジル拓殖組合(ブラ拓)が作った「トレス・バレス移住地」から始まった。戦後にコーヒーと棉の栽培で活況を呈し、一時は人口20万人に達した。だが70年代から人口が減り現在は1万6千人。同連合会の中川会長は「日系人はうち3千人ほど」と推定。
 同品評会は1935年に始まった。42年1月にブラジルが日本と国交を断絶し日本人の集会が禁止され、同年から中止に。再開したのは1950年。毎年続き、今回が75回目だ。当初は日系農家が切磋琢磨することを目指していたが、いまは市民の娯楽的な役割が強い恒例行事になった。
 開会式は2日目の午後7時からで、西森ルイス弘志下議、アカシオ・セッシ市長、在クリチバ日本国総領事館の小林悠馬副領事らが出席。西森下議は「今年は眞子内親王がパラナにいらっしゃる。みなで歓迎しましょう」と呼びかけた。
 和太鼓の演奏に合わせた盆踊りや、歌手の平田ジョーさんの歌謡ショーが行われ、連合会婦人部お手製のうどんやのり巻などが販売された。奥半分が品評会会場で、60の農家が出品した野菜や果物がずらり。作物の種類ごとに「一等賞」などの札が貼られていた。
 来場したブルーナ・ロチャさん(24)は「ここは田舎だけど、たまにこういうイベントがあるからいいわね」と話す。農家へのPRのために展示されていた農業機械に乗り込み、自撮りをするなどして楽しんでいた。
 中川会長は「品評会の準備を通して会員の交流にも役立つ」と話す。ただ、会員の高齢化が進む一方、若者に会の運営を任せられないのが悩みの種。「若い人たちに自分が楽しめる祭りに変えてほしい」と話した。
 アサイ市の主要な産業は農業と工業だが、セッシ市長は「『日本移民の町』としての特色をアピールし、観光業を活性化させたい」と言う。それを表すのが先月開城した「旭城」だ。
 車で1、2時間の距離に、温泉で有名なコルネーリオ・プロコーピオや教会と巨像で有名なバンデイランテスがあり、「旭城」を目玉にそこからの観光客の呼び込みたい考えだ。また9月には食のイベント「プリマベラ・ガストノミカ」が始めてアサイで開催、日本食も提供される予定だ。
 2012年には市内に州立の高校ができ約500人の生徒が通う。セッシ市長は「観光客や若い人が集まる活気ある町にしたい」と話した。

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 アサイの農産品評会で、在クリチバ日本国総領事館の小林副領事が、来場者に日本の酒と梅酒の試飲をすすめていた。「他のイベントでも試飲してもらったが、梅酒のほうが人気が高い。甘くて飲みやすいのでしょう」と話す。試飲したディオニ・フェレイラ(22)さんは「酒も梅酒も初めて飲んだ。おいしいけど強いね」と話した。梅酒をそのまま提供するのでなく、水や氷で割ればもっと人気が出る!?

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