エース候補と呼ばれ11年目 ロッテ唐川が2軍で克服すべき課題とは…

ロッテ・唐川侑己【写真:荒川祐史】

今季は3試合に1軍で先発しながら、いずれも突如として乱れて3敗

 将来の“エース候補”として期待されてきたロッテの唐川侑己投手も、今年の7月で29歳、プロ11年目を迎えた。若手から中堅と呼ばれる年齢となり、同学年の巨人・菅野智之投手はチームのエースに成長。唐川も本来であれば、その座にいるべき存在だが、現在は2軍で調整中。再昇格を目指して、黙々とトレーニングを積んでいる。

 持っている能力は非常に高い。高卒1年目の2008年4月26日のソフトバンク戦で、平成生まれのプロ野球選手として初の勝利投手となり、3位から日本一となった2010年の日本シリーズ第4戦では平成生まれ初となる先発、2011年には自身初の2桁12勝をマーク。昨季終了時点で通算65勝をマークしている。

 プロ11年目の今季は開幕を2軍で迎えた。2軍戦で5試合に登板し、4月18日のオリックス戦で満を持して1軍の先発マウンドに上がった。スコアボードに0を並べ、5回までパーフェクトに抑える完璧なピッチングを披露したが、6回に突如崩れ、この回だけで5安打を浴び4失点で敗戦投手となった。

 その後先発した4月28日、5月5日の日本ハム戦でも、ゲームを作りながら、もったいない失点が目立った。3連敗で2軍再調整となってからも、先発した5月29日のイースタンリーグ東京ヤクルト戦は初回に3点を許し、2回から7回まで無失点。6月8日の同リーグ楽天戦は6回まで無失点に抑えながら、7回に失点して途中降板した。

 唐川本人も「要所で取られることが多い。今年に関しては、ほぼそれなので…。そこが結果として大きく現れるところなので、課題です。6月8日の楽天との2軍戦も、イニングの途中で降りたり、ちょっと詰めの甘い部分があった」と自身の課題点を自覚する。

「結果を残さないと上にはあがれないと思います」

 課題を克服するために「意識の問題だと思うので、ピッチング、キャッチボールから意識しています」と工夫を凝らし「(試合中も)セットポジションになって1球のミスが打たれて、点が絡むことがあるので意識しています」と失投を防ぐために、マウンド上では常に危機感を持っている。

 開幕からストレート、変化球ともに投げるボールは素晴らしい。突然乱れる“悪癖”がなくなれば、十分に1軍で通用する力があるだろう。「(ストレートは)ずっと状態は良いと思います。上でも良いピッチングができるイニングがあり、全体的にはそんなに悪くないのでそういった意味でも手応えはありますけど、要所で点を取られて結果を残すことができなかった」と唐川は自己分析する。

 ロッテの先発ローテーションは現在、ボルシンガー投手がチームトップの8勝、石川歩投手が7勝、涌井秀章投手が4勝をマーク。シーズン途中に先発へ転向した有吉優樹投手も2勝を挙げている。残りのイスは状態の良い投手が起用されていくことになりそうだ。

「結果を残さないと上にはあがれないと思います」

 勝負の世界に身を置いて11年、結果のみが求められていることは十分に理解している。ただ「自分で結果を欲しがりすぎたら、前のめりになってしまっては良くないと思います。自分がやるべきことをしっかり考えて、それをしっかりこなしていくことが大事。それの積み重ねなんじゃないかなと思います」。現状の自身の課題と真摯に向き合い、虎視眈々とその時を待っている。

(Full-Count編集部)

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