大阪で震度6弱

 人々は「次」が来るんじゃないかと心配そうに空を見上げていたという。大阪市の路上で、建物から避難した数多くの人が余震を恐れ、天を仰いだとニュースで報じていた。ふと思い出す。嘆き、訴えるように上を向くことを「天を仰ぐ」と言うんだったな、と▲震度6弱の地震が大阪で起こり、周りの府県にも被害は及んだ。下からドシンと突き上げられた後、左右に揺さぶられたらしい。神戸の年配女性は阪神大震災が思い出され「ドキドキする」と動揺していた▲朝の出勤・通学ラッシュに重なった。交通が機能しなくなり、駅や路上に人があふれた。あちこちで建物の外壁がはがれ、ブロック塀が倒れた。被害を伝える映像が過去の地震と二重写しになる▲小学校のプールの塀が崩れ、下敷きになった9歳の女の子が命を落とした。通学路で子どもの見守りをしていた80歳の男性も、塀が倒れかかってきて亡くなった▲老朽化したブロック塀が地震で倒れる危険性はかねて言われてきた。こうなる前に手を打てなかったか。そう悔やまれる一方で、まるで通学の時間帯を狙い澄まし、揺れが襲ったようにも思えて、嘆息しながら天を仰ぐ▲揺れた地域はしばらく大きな地震に要警戒という。土砂災害もあり得る。今どれほどの人たちが空を見上げていることだろう。(徹)

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