筋ジスと闘い、バンドに情熱 サークル結成を呼び掛け 川棚の福田隆次さん ベッドで作詞作曲続ける

 「明るく元気に楽しくをモットーに、障害者と健常者が交流するバンドサークルをつくりたい」
 体の筋力が徐々に低下する難病「筋ジストロフィー」を患いながら、音楽活動に情熱を持ち続けている男性がいる。東彼川棚町の長崎川棚医療センターに入院している福田隆次(たかつぎ)さん(34)。夢の実現を目指して、インターネットの掲示板やフェイスブック(FB)でバンドメンバーを募っている。
 福田さんは諫早市出身。小学6年のとき発症し、翌年、川棚町の県立桜が丘特別支援学校に入学した。少しずつ筋力が衰えていく中、音楽に興味を持ち、作詞に取り組むようになった。
 やがて、キーボードやギターの演奏にも挑戦した。2006年にはネットの掲示板で知り合ったミュージシャンらと、ビートルズの曲のコピーなどをするアマチュアバンドを結成。ボーカルとして、佐賀県内のイベントや佐世保市内などのライブハウスに出演したこともある。
 その後、病状が悪化。09年に喉の手術で人工呼吸器を装着することになり、ステージで歌うことはできなくなった。それでも作詞や作曲は意欲的に継続。13年には障害のある人がつくった詩にメロディーを付けて発表する「わたぼうしコンサートinながさき」(実行委主催)で、「もっと明るく 生きていこう!~僕は筋ジストロフィーだ!!~」が大賞に輝いた。「病気だけど自分自身や音楽が好き」という気持ちをストレートに表現し、もの作りの仕事に就いたりプロミュージシャンとして活躍したりする夢をつづった歌詞。希望を持つことの大切さを訴えた。「中学生からの夢がかない、最高にうれしかった」と振り返る。
 16年の同コンサートでは、家族への感謝をつづった「僕を産んでくれてありがとう」が審査委員会賞を受賞した。
 現在、福田さんは病院のベッドでほぼ寝たきりの状態だが、体調の良い日はパソコンを使い、時間をかけて作詞の文字を打ち込んだり、専用ソフトで作曲に励んだりしている。「詩のイメージはどんどん湧いてくる。ストーリーを組み立てることが楽しい」と創作の魅力を話す。
 これからの目標は、自身は作詞や作曲で参加し、メンバーと打ち合わせをしながら一緒に音楽活動を楽しむバンドサークルをつくること。オリジナル曲を聴衆の前で披露するのが夢だ。
 ネットの掲示板やFBでこう呼び掛けている。
 「どんなに進行していく病気であっても、音楽を諦められずにいる人がたくさんいると思う。どうか、力を貸してください」

難病と闘いながら、音楽活動への熱い思いを語る福田さん=長崎川棚医療センター

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