金属行人(6月19日付)

 企業の永続は、事業承継を託せる担い手の存在がカギを握る。独立系の中小企業だと世襲で承継するケースが多い▼というのも独立系の場合、オーナー経営者に株式の多くが集中しているのが一般的だ。それ故に経営トップが自身の持ち株を譲渡する際、子息や親族といった身内に相続させる形式をとる▼過日の全国鉄鋼販売業連合会の定時総会の中で行われた講演会の演題は「後継者育成のための事業承継成功33の原則」。講師を務めた木越和夫氏(商売繁盛応援団団長、せいわ箸店顧問)の自らの実体験に基づく臨場感ある語りが印象的だったが、そこで挙げられた33項目(中小企業対象)から幾つかピックアップしてみる▼朝一番に出社しているか/人をほめるのが上手か/人を喜ばせることが好きか/好かれているか/幹部を大切にしているか/人の意見を素直に受け入れるか/言動一致か/現場主義か/経営者として「プロ意識」があるか/会社の理念を「信念」にしているか…▼講師いわく「事業承継は『人』『次期』『やり方』を間違えると取り返しがつかなくなる。中でも特に『人』の影響が大きい」。鋼材加工流通業界の永続・発展のためにも、当該企業にはぜひとも円滑かつ失敗のない承継を願う。

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