自転車保険加入義務化へ 県、年度内に条例制定

 自転車が関係する重大事故の増加とともに加害者が多額の損害賠償を求められる事例が相次いでいることを受け、県は19日、自転車利用者らに損害賠償保険への加入を義務付ける条例を制定する方針を示した。年度内の制定を目指す。

 同様の条例は昨年12月、相模原市が県内で初めて制定した。自転車利用者に損害賠償保険の加入を義務付けると同時に、自転車小売業者にも購入者の保険加入の有無確認を義務化。併せてヘルメットの着用なども求めており、罰則規定はない。

 県くらし安全交通課によると、自転車損害賠償保険の加入を義務付けた条例は、都道府県単位では埼玉、京都など6府県が制定しているという。

 昨年1年間の県内の交通事故件数は、前年比1449件(5・3%)増の2万8540件で17年ぶりに増加に転じた。とりわけ自転車が関係する事故は6546件で同658件(11・1%)増となっている。

 自転車事故を巡っては、昨年12月に川崎市内で女子大学生がスマートフォンを操作しながら電動自転車に乗り、歩行者の女性に衝突し、死亡させるなど重大なケースが後を絶たず、小中学生や高校生が加害者になるケースもあり得る。一方、加害者に高額賠償を求める判例が全国的にも相次いでいることから、万一に備えた保険加入を求める声が高まっている。

 黒岩祐治知事は自転車損害賠償保険の加入促進は大変重要との認識を表明。「検討に当たっては、県民、事業者をはじめ関係団体などの意見を丁寧にうかがい、取り組んでいく」と述べた。

 19日の県議会本会議で、河本文雄氏(自民党)の代表質問に答えた。

神奈川県庁

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