天災と老朽化

 テレビ画面で、破損した水道管から勢いよく水が噴き出ている様子を見た。おととい大阪北部で震度6弱を記録した地震の被害の一端▲水道管が老朽化していたのだろう。2016年1月の大雪時に本県各地で水道管が凍結破損し断水したことを思い出す。天災は住民生活を支えるインフラの老朽化をいや応もなくあぶり出す▲留意したいのは、今回のマグニチュード(M)6・1という地震の規模が、特別に大きなものではないということだ。日本周辺ではM6級の地震が年平均17回のペースで発生するという。この規模の地震はいつでも起こり得て、人口密集地と重なると大きな被害を引き起こす▲本県でもM6~7級の地震を引き起こす可能性のある活断層が確認されている。最大で震度7の揺れを引き起こす可能性があるという。ただ本県では、観測態勢が整った1923年から今まで、震度5強を上回る地震を記録したことがない▲未体験の揺れに、老朽化した構造物が遭遇したらどうなるだろう。耐震基準が強化される前に造られた建物が危ないのはもちろん、古いトンネルの内壁が崩落したり、橋やダムなどの土台にひびが入ったりする可能性はないだろうか▲いつ起こるか分からない天災。それに負けないまちを築かなければならない。大阪でも、本県でも。(泉)

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