聴覚障害者と避難経路 さるく 手話サークル「うんぜん」 危険箇所など確認

 雲仙市の手話サークル「うんぜん」(桶本寿美子会長)は17日、同市小浜町などで「避難所さるく」を実施し、聴覚障害者と一緒に、避難所までの経路や危険箇所などを確認しながら歩いた。
 地震や台風などの災害時に、迅速で安全な避難を促そうと昨年から定期的に実施し3回目。市福祉課によると、市内の聴覚障害者は189人で、このうち小浜町は最多の39人。「さるく」には、避難ルートを確認する目的のほか、障害者がいることを地域住民に知ってもらう狙いもある。
 市は昨年度から、手話を言語として位置付ける「手話言語条例」の制定に着手し、本年度中の施行を目指す。市専任手話通訳者の増員や育成、学校現場での手話教育強化などに取り組んでいく方針。「さるく」などの活動を通じて市民への啓発、普及活動を強化していく考えだ。
 「さるく」には、聴覚障害者を含む同サークル会員13人が参加。避難場所である県立小浜高から、会員宅までの約1キロを歩きながら、街灯の有無や側溝など危険な場所がないかを確認。外壁や土砂崩れで道がふさがれた場合を想定して別のルートも歩いた。聴覚障害者の場合、車の接近に気付かないケースもあり、国道を横断する時や道幅が狭い場所を歩く際の注意点なども確認。同市南串山町でも実施した。
 参加者は「手すりのない溝もあり、夜は危ない」「街灯の数を増やしてほしい」などと感想。桶本会長は「普段からルートを確認して備えることも大切だが、地域住民の協力も不可欠。自らの地域に障害者がいないか心掛けていてほしい」と話した。

危険箇所などを確認する参加者=雲仙市小浜町

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