4年前はスラム街で大工…モロッコ9番アル・カービの壮絶な過去

ポルトガルと戦ったモロッコ代表だが、9番のFWアユブ・アル・カービ(今大会のTV中継ではエル・カービの呼称)が、あのハリー・ケインにも負けないシンデレラ・ストーリーを歩みロシアの地に立っているのをご存じだろうか?

モロッコ代表と言えば多くのメンバーがフランス、ベルギー、オランダといった他の国のユース代表経験を持ち、ルーツであるモロッコのフル代表を選んだ選手たち。

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アル・カービはそうした選手と全く趣が異なる。モロッコのカサブランカの出身で、メディウナというところにあるスラム街で育った。そればかりではない。15歳で学校を離れて大工の見習いとして過ごしサッカーは遊びで友達としていたというのだ。

だが、才能に気付いた人たちがいた。彼はラシン・カサブランカと2014年に契約し大工を辞めることとなった。ちょど今大会の4年前のことである。同クラブのアカデミーで育ち、ユース時代に2度のレンタル移籍を経験したというが、2016年にラシン・カサブランカでデビューすると2016-17シーズンに2部得点王に輝き、翌2017年にはASベルカヌへ引き抜かれた。

1部リーグデビューとなったアル・カービはA’(エーダッシュ)代表として2018年のアフリカ・チャンピオンシップで9ゴールをあげ得点王に輝いた。この大会での得点王はそれまで5ゴールが最多。歴史上もっとも多くのゴールをあげた得点王となった。その後3月にA代表デビューを飾ると、そのままワールドカップの出場メンバー入りを果たし、今大会で9番をつけている。

元々は左ウィングの選手でスピードにも優れるが、ストライカーとしてエリア内での強さもある。「働き者」と形容される選手で、運動量がありスペースに走り込み、またスペースを作るために汗を流す。ポルトガル戦ではベンチスタートとなり不発に終わったが、彼の名前を覚えておいて損はないだろう。

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