日本、動じず

 28歳と言えば十分に若いはずだがスポーツ界では必ずしもそうではない。「おっさんジャパン」と口さがない呼ばれ方をした平均年齢28・3歳、ベテラン主体のチームは見事“おっさん批判”をはねのけた▲後半、大迫勇也選手がヘッドで勝ち越しゴールを奪った瞬間、「おーっ」と声を上げた人は数知れまい。きのう一日、興奮冷めやらずに過ごした人も数知れまい。サッカーのワールドカップで日本は、ランキングではずっと格上のコロンビアに競り勝ち、1次リーグ初戦を大金星で飾った▲「落ち着いていた」と西野朗監督は言う。海外経験を積み、大舞台を踏んだ選手の多い日本は、退場者が出た相手に攻守で上回り、動じず、巧みにボールを回し、そして大方の予想を覆した▲前回大会で日本は白星なく終わった。長崎市出身の吉田麻也選手は勝利までの道のりを「本当に長かった」とかみしめ、「まだまだここからなので」と気を引き締める▲この先の対戦相手も格上で、確かに「まだここから」だが、1次リーグ初戦で勝ったチームのリーグ突破率は過去、85%に上るという。期待はついつい膨らむ▲もう「おっさん」と呼ぶ人はいない。次のセネガル戦でも「動じない日本」を見せてくれるに違いない。落ち着いていられないのは、見ている私たちの方だろう。(徹)

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