産総研、都市鉱山からの資源回収促進する研究施設を開設

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(産総研)は20日、使用済電子機器など廃製品に含まれる金属資源を自動選別する試験装置群を導入した集中研究施設「分離技術開発センター(CEDEST)」を産総研つくばセンター(茨城県)内に開設したと発表した。

 金属リサイクルの高度化と省人化を両立する世界初の自動・自律型のリサイクルプラントの開発・構築に向けた本格的な装置開発に着手する。従来の手作業による廃製品の解体・選別プロセスの10倍以上の処理速度と、廃部品を分離効率80%以上で選別する性能を実現し、これらを無人で一貫制御する選別システムの確立を目指す。

 同センターでは、廃製品の種類を自動認識し、製品選別、筐体破壊、モジュール選別を無人で行う廃製品自動選別や、各種選別技術を自動的に最適選択・制御して製錬原料として最適化する廃部品自動選別などを開発する。自動・自律型のリサイクルプラントについては20年度までにデモ機を完成させ、ベンチスケールの試作機を21年度に完成させる計画。その後、数年ほどで企業での実用化を想定しているという。

 研究開発には産総研と参画企業・大学などから約70人の研究者が携わる。回収対象となる元素については15種類程度で回収可能な元素を検討しているが、どの製品からどの金属を回収するかについて今後見極める方針だ。

 同センターは、NEDOプロジェクト「高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル技術の研究開発事業」(17~22年度)の一環として開設された。同プロジェクトは、産総研が中心となり、大栄環境、佐藤鉄工、リーテム、DOWAエコシステム、三徳など企業・大学・研究機関と連携しながら自動・自律型リサイクルプラントや少量多品種の金属高効率製錬技術の実用化を目指した研究開発を進めている。

 NEDOでは同プロジェクトの実現により、都市鉱山など資源循環を促進し、資源の安定確保に貢献するとともに、リサイクル技術の海外展開などにもつなげていきたい考え。

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