佐々の魅力 雑貨でPR 添嶋さん、故郷をモチーフ 「桜」「シロウオ」… 創作で心も元気に

 デザインで佐々の魅力を伝えたい-。北松佐々町出身の添嶋夢美さん(23)=佐世保市高梨町=は、佐々の風景や文化をモチーフにした雑貨のデザイン、販売を手掛けている。心の元気を取り戻しながら続ける創作活動。添嶋さんは「佐々が好きという気持ちを柄にしている。『佐々ってどんな場所』と考えてもらえれば満点」と話す。
 10日午後。佐世保市平瀬町の市民文化ホールで手作り雑貨のイベントが開かれていた。桜、シロウオ、花火。添嶋さんのブランド「サザノコ」のブースには柔らかな色合いの和紙や手拭いが並んだ。「すてきね」「これにしようか」。声を弾ませながら商品を選ぶ女性客を、添嶋さんは笑顔で迎えた。
 生まれも育ちも佐々町。都会暮らしに憧れ、高校を卒業後に上京した。空港の保安検査場で働き始めたが不規則な勤務で心身の調子が悪化。約2カ月で佐々に戻ってきた。そのときに目に映った風景に心を動かされた。「何でもないと思っていた川や緑がとてもきれいだった」
 帰郷後は、佐世保市内の心の病気を抱える人の就労支援施設で土産物のデザインを経験。約3年前に知人から皿山公園(佐々町鴨川免)の花菖蒲(はなしょうぶ)まつりに出店するよう誘われた。「佐々のために何かをしたい」。心のどこかにあった思いをかなえようとサザノコを立ち上げ。公園の水路を泳ぐコイや古い水車など子どものころに見た風景を基に柄を作り、ハンカチとトートバッグにして販売した。「佐々でこんな活動をする人は初めて見た」「頑張ってね」。訪れる町民の言葉がうれしかった。
 町内のほかの祭りや雑貨のイベントにも少しずつ出店。商品を手にしてもらうことで不思議と気持ちが落ち着き「社会とつながり直せた」。サインペンで手描きをしている柄は次第に種類が増えた。町歌の歌詞からイメージして町花のサザンカとアユのシルエットをあしらった図柄を考案。江戸時代にあった大新田干拓の歴史は青色や黄色で描く稲穂の絵で表現した。「(知らないことでも)絵で見せれば印象に残りやすいから」
 「地元の人が地元に来なくなっている。にぎわいをつくりたい」。佐世保市に隣接し高速道路で県内外につながる佐々。今後は地元の商店独自の柄を考え、手拭いを作るなどのコラボレーションができないか模索している。「雑貨は日常生活に寄り添える。使う人が佐々や故郷に思いをはせてもらうきっかけにしたい」。今後の活動に意欲を見せた。

「雑貨を通じ佐々に関心を持ってほしい」と話す添嶋さん=佐世保市新港町、させぼ五番街

© 株式会社長崎新聞社