キユーピー、フードロス削減へ新たな取り組み

キユーピーは、SDGsの目標の1つである「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」を実現するため新たな取り組みを開始すると発表した。目標達成の国際的課題となっているフードロスの削減を目指し、一部製品の賞味期限表示を「年月日」から「年月」に変更する。また、一部製品の賞味期間の延長することで、返品や廃棄の削減につながると期待している。(オルタナ編集部=中島 洋樹)

賞味期限表示変更および賞味期間延長の対象となるのは、同社が展開する市販用介護食「やさしい献立」シリーズのレトルトパウチ商品47品目。賞味期限表示は、従来の「年月日」表記から「年月」表記とし、年月の後ろに製造日ロット記号を記載する。また、賞味期間は12ヵ月だったものを13ヵ月に、18ヵ月だったものを19ヵ月にそれぞれ従来の期間より1ヵ月延長する。それぞれ本年9月製造分より開始する予定だ。

対象を「やさしい献立シリーズ」の品目とした理由について、キユーピー 広報・CSR部 広報室 メディアコミュニケーションチームの大木陽子チームリーダーと菅原隆史氏は「市販用介護食を開始したのは当社が最初であり、少子高齢化社会を迎えている日本で同製品は多くのユーザーにご利用いただいていることから」と述べている。

今回の取り組みによって、ユーザーへのフードロスへの注意喚起、食料廃棄の抑止効果のほか、同社では賞味期限を「年月」表記とすることによる返品の抑制や、製造から流通までのオペレーションの一部短縮化によるコスト削減が期待できるとしている。

同社はこれまでもフードロスへの取り組みとして、マヨネーズの製造に使用する卵の黄身以外の再資源化(卵白を菓子やかまぼこ・ハムに、殻をカルシウム強化食品に、殻膜を化粧品やうまみ調味料にそれぞれ使用)や、サラダや惣菜の加工時に生じる野菜の未使用部位について、廃棄せず養豚業者などに提供し、家畜飼料とする野菜の再資源化を行ってきた。

また、東京農工大学と再資源化の効果について共同研究を実施。昨年より開始したキャペツやレタスなどの葉物野菜を用いた飼料について、乳牛に葉物野菜を用いた飼料を与えた場合、通常の飼料を与えるよりも乳量が増加することがわかり、日本畜産学会で報告されるなど、産学の取り組みも実を結んでいる。

同社が設定しているCSRの5つの重点課題「健康寿命延伸への貢献、子どもの心と体の健康支援、資源の有効活用と持続可能な調達、CO2排出削減(気候変動への対応)、ダイバーシティの推進」の中の「資源の有効活用と持続可能な調達」に関連する今回の取り組みで、同社は、今回の「やさしい献立シリーズ」での賞味期限表示の「年月」表記への変更、賞味期間の延長について変更後の経過を見つつ、自社の他製品にも拡大させ、フードロスに向けた取り組みを強化していきたいとしている。

© 株式会社博展