【熊本城のいま】史跡拡大 合庁移転が契機

 熊本市中央区の熊本合同庁舎跡と城彩苑などの一帯(約4・6ヘクタール)と、熊本城の西側にある高麗門跡・御成道[おなりみち]跡(計約1900平方メートル)が今秋にも、国の特別史跡熊本城跡に追加指定される見込みとなった。国の文化審議会が文部科学相に答申した。

 熊本城跡の追加指定は、2005年に旧細川刑部邸や市立博物館などがある三の丸(約8・3ヘクタール)が指定されて以来となる。

 市はこれまで往時の地形などが保たれているとして、国の特別史跡の範囲を旧城域(約98ヘクタール)まで広げることを掲げてきた。1933年の指定を皮切りに、これまで受けた追加指定は5回。今回の追加指定が認められれば、特別史跡は約56ヘクタールに広がり、目標の旧城域全体に対して約57%になる。

 市文化振興課によると、今回の指定範囲は2015年に合同庁舎が西区春日の新庁舎に移転し、建物の取り壊しが決まったことがきっかけ。城彩苑を含めて一帯は江戸時代、武家屋敷があり、地形が良好に保存されていることから、城彩苑とセットにして指定を目指すことになった。

 高麗門跡・御成道[おなりみち]跡は、JR鹿児島線連続立体交差事業に伴い、県が11~13年に調査して見つかった遺構。高麗門は加藤清正の築造で、城下町とともに堀や土塁で囲まれた「惣構[そうがまえ]」の出入り口にあたる。合同庁舎跡などと合わせて、市はことし1月、文部科学相に意見具申した。

 また、史跡がある土地の所有者の合意がスムーズに得られたことも答申を後押しした。合同庁舎跡は国有地で、城彩苑は市有地。高麗門跡や御成道跡は、JR九州と県、市が所有している。史跡を指定する際、地権者の合意は法律上必要ではないが、指定されると開発が制限されるため文化庁は合意を前提としている。一般的に民有地は、地権者の了解を取り付けるのが難しい場合もあるという。

 今後、旧城域で未指定なのは、藤崎台県営野球場、国立病院機構熊本医療センター、第一高校、千葉城地区などとなる。

 このうち市が「次の指定区域」として見据えているのは、旧NHK熊本放送会館と日本たばこ産業(JT)熊本支店跡がある千葉城地区。ここは室町時代に「千葉城」の本丸があり、江戸時代は武家屋敷があったとされる。現在は市が両跡地を無償で借り受け、お城の復旧工事に必要な重機や崩落・解体した石の置き場所として活用している。

 今後指定を目指す旧城域には、民有地も含まれている。市文化振興課は「将来的には民有地も所有者の理解を得て指定を目指したい。史跡すべての土地を市が取得して管理していくのは、財政的にも難しいだろう」としている。(飛松佐和子)

(2018年6月22日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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