金属行人(6月22日付)

 今週18日に大阪北部を襲った最大震度6弱の大地震。電車などの公共交通機関、ガス、水道などライフラインが寸断し、都市機能が一時的にまひ状態となった▼今回の地震で改めて脆弱さを露呈したのが水道管。破裂・破断に伴う断水や漏水が各地で起きた。実は水道管路の老朽化・耐震化更新は全国的な課題となっている▼水道管路の法定耐用年数は40年。しかし高度経済成長期に敷設された水道管の更新は進んでおらず、管路の経年化率(管路総延長に占める法定耐用年数を超えた管路の割合=老朽化率)は今後さらに上昇するとみられている。現在の更新ペースでは、すべての管路を更新するのに約130年かかるという試算もある▼大阪府は法定耐用年数を超える水道管の割合が約30%と全国で飛び抜けて高い。歴史的に都市化が早く、高度成長期に敷設した水道管が多いためだという。全国の自治体でも財政面の問題から老朽化更新になかなか予算が回ってこない▼全国の水道普及率が97%を超えている現在、いつでも蛇口をひねればきれいな水を利用できるのが当たり前と思ってしまっている。老朽化・耐震化更新が必要なのは道路や橋など「見えるインフラ」だけではない。

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