東工大と物材機構、希少元素使わない半導体を開発 原料に窒化銅

 東京工業大学と物質・材料研究機構は21日、希少元素を使わずありふれた元素から高性能な半導体を開発したと発表した。原料に用いたのは窒化銅。低コストの薄膜太陽電池に応用が期待される成果になる。

 東工大の元素戦略研究センター長を務める細野秀雄教授、物材機構・先端材料解析研究拠点の木本浩司副拠点長らの研究グループが開発した。

 窒化銅はありふれた元素のみで構成され、新しい薄膜太陽電池材料として注目されている。ただ、高品質な結晶の作製が難しい課題があった。

 研究グループは薄膜を低コストで大面積に形成可能な新たな窒化物合成法を考案。原子レベルでの観察や放射光による電子状態解析などを駆使して開発に成功した。

 同研究成果はドイツの科学誌「アドバンスト・マテリアルズ」のオンライン版に19日付で公開された。

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