対馬高生 地域の課題取材 地元関係者にインタビュー 人口減少、医療… 新聞にまとめ発表へ

 対馬市厳原町の県立対馬高(立木貴文校長)普通科2年生約110人が、地域の課題や可能性について取材し、新聞の形にまとめる「ESD対馬学」に取り組んでいる。21日は地元関係者にインタビューし、人口減少や地域医療などの特集記事に向け理解を深めた。
 「ESD」は、「持続可能な開発のための教育」の英語略称。「ESD対馬学」は生徒が対馬の現状を取材し、紙面にまとめることで課題解決力のある人材を育てる取り組みだ。
 インタビューは「人口減少」「地域医療」「通信環境」など11分野について、それぞれ地元関係者を招いて実施。生徒はグループに分かれて聞き取りをした。
 「人口減少」のインタビューでは、県対馬振興局の職員が応じ、生徒が「若者の流出を防ぐ工夫は」「なぜ対馬には若者向け施設が少ないのか」などと熱心に質問した。同局地域づくり振興課係長の太田勝也さん(41)は地場企業に求人の早期提出を要請していることなどを説明。韓国人客増で対馬にホテルなどが新設されていることを例に「若者の人口が増え、需要が高まれば関連施設ができる。就職の際には、島内企業の仕事も知った上で選んでほしい」と呼び掛けた。
 「地域医療」のインタビューでは市医療統括官の桑原直行さん(56)が、機器の進歩で在宅医療でもエコー検査などができるようになったことを説明。一方で、「対馬で在宅医療は増えていくか」との質問には、「残念ながら在宅医療を担う看護師が足りない。対馬は広く、患者宅から別の患者宅まで時間がかかる点も不利だ」と実情を話した。
 地域医療分野で記事を書く寺崎純平さん(16)は「厳しい状況が分かった。将来は医療職に就きたい。対馬の状況をまとめて、今後の対策を考えながら記事をまとめたい」と話した。
 記事は10月の同校文化祭で発表する。

市医療統括官の桑原さん(右から2人目)らに、対馬の医療問題について取材する生徒=対馬高

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