F1カナダGPでクラッシュを喫したハートレー、身体的な不安はなく優勝経験のあるポール・リカールでのレースに期待

 トロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレーは前戦F1カナダGP決勝のスタート後、1周目にウイリアムズのランス・ストロールと接触し、今シーズン最も恐ろしいとも言えるようなアクシデントに巻き込まれた。

 ハートレーは、F1公式サイトに投稿されたビデオブログで「スタートは上手くいった。完璧ではなかったし、もっと良くできたはずだけどね。それか、ターン4を見事に走り抜けたんだ」と語り、さらに以下のように続けた。

「左側に少し狭められたけれど、(ストロールに)バトルになるだろうと感じていた。ターン5にはサイド・バイ・サイドで入った」

 「ランスのタイヤが実際にパンクしたのかどうかは分からないけど、僕にははっきりとそう見えた。彼のマシンがコントロールを失って僕に接触し、その結果僕のマシンは激しく壁に叩きつけられて、レースを終えることになってしまった」

「いつものように、レースに出てクラッシュした、というわけだ」とハートレーはため息まじりに話す。

「そのたびに何が起きたのかをみんなに話さなければならないことに、本当にうんざりしている。だけどそうだな、僕のレースは実質的には始まる前に終わってしまっていたんだ」

「チームのみんなが週末を通して素晴らしい仕事をしてくれていたというのに、残念ながら報いることができなかった。アップデートを持ち込んでくれたホンダに対してもね」

「入賞してポイントを持ち帰ることができれば良かった。チームはそれに値するだけの働きをしてきたんだ。だけど、ときにはこれがレースだ、と受け入れなくてはならないこともある」

 ハートレーはメディカルセンターに運ばれ、そこから地元モントリオールの病院に空路搬送された。この時点で、彼がかなりの重傷を負ったのではないかという懸念も生じていた。

 しかしハートレー自身は、実際にはそうではなかったと強調し、自分でも健康状態にはまったく不安を抱かなかったと述べた。

「僕の身体はどこも問題なかった。病院に行く必要すらなかったかもしれない」

「ただ、僕たちのイヤホンには何Gの重力を受けているのかを計るセンサーが内蔵されている。マシンにも同じセンサーがあって、マシンが受ける重力加速度を計測している。これは実質的に僕の頭部が、どの位強い力を受けているのかということでもあるんだ」

「今回の数値は、僕が病院に行かなければいけない程度には高かったということだ」とハートレーは肩をすくめた。

 診断の結果健康状態に問題ないことが確認されたハートレーは、すでに次のレースに期待をかけている。次戦は10年ぶりとなるフランスGPであり、ル・カステレのポール・リカール・サーキットでの開催は、アラン・プロストがフェラーリで優勝した1990年以来となる。

「F1マシンで走った経験はないけれど、ポール・リカールはよく知っているコースだ。あそこでは、WEC世界耐久選手権のLMP1カーで何回もテスト走行をしたし、2013年にはLMP2クラスで優勝もしている」

「耐久レースのテスト走行では常によく使われるコースだった。それに僕はあそこで夜間に走るのがかなり上手いんだ。F1マシンで夜間に走ることはないけれどね」

「その後、コース全体が再舗装されたことは知っている。タイヤライフの点で言えば、かなり個性的なコースだったから、新しい路面を試すのが楽しみだよ」

「走っていて楽しいコースだし、今でもかなりの高速コースだ。僕がテストで走っていたときにはバックストレートのシケインがなかったから、当時ほどには速くないだろうけどね」

「それでも、素晴らしいコースだと思う。スポーツカーとF1の両方で長い歴史がある。僕も本当に楽しみにしているんだ」

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