【郵便汚職】DM発送60回で不正黙認 検査形骸化か

 ダイレクトメール(DM)の発送料金を巡る郵便不正事件で、逮捕された茨城県の土浦郵便局元課長の男(61)と同局課長の男(46)の両容疑者が少なくとも60回、DM発送代行会社の支払額を本来の1割程度に抑えたとみられることが22日、神奈川、茨城県警の合同捜査本部への取材で分かった。捜査本部は、発送時の検査が形骸化していたとみて調べを進める。

 日本郵便によると、DMの発送料金は数量や規格で決まる。同社は内規で、100通以上の場合はサンプルを抽出し、その重さを基に全体の数量を算出できると定めている。不正を防ぐため、検査には複数の局員が立ち会うという。

 捜査本部によると、61歳の男らは、東京都の代行会社「ティーティーオー」の元役員らが数量を過少申告したり、サンプルとは規格が異なるDMを紛れ込ませたりしたのを黙認し、料金を低く抑える見返りに接待を受けた疑いがある。日本郵便の損害額は6億円を超えるという。

 捜査関係者によると、61歳の男らは不正の発覚を避けるために、代行会社とDMを持ち込むタイミングを調整していたことが判明。検査の現場に立ち会わず、代行会社に一任することもあったという。また、61歳の男が3年前、接待の席で46歳の男を代行会社に紹介したことも分かった。

 捜査本部は22日、日本郵便株式会社法の加重収賄容疑で両容疑者を、贈賄容疑で代行会社の元役員と社員計5人をそれぞれ送検した。

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