難題多い中山間地 減反廃止(4)

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傾斜地の水田で高いのり面を見上げる栄ライスサポートの飯田隆社長=日田市天瀬町合田

 農家の競争力を高めることを目的として廃止された国によるコメの生産調整(減反)。傾斜地や狭小な田など“条件不利地”が多い中山間地では、低コスト化といった競争力向上は容易ではない。県内の耕地面積の7割は中山間地で、比率は全国で5番目。地域の高齢化も重なり生産者は危機感を強めている。

 「こうした斜面の草刈りも米作りの作業の一つ。平地とはかかる労力が違う」。日田市天瀬町の傾斜地。上下に連なる田の間にそびえる高さ2メートルを超えるのり面を見上げながら、集落営農を支える株式会社「栄ライスサポート」の飯田隆社長(61)はつぶやいた。

 同社は地域の農業者らで設立。40年にわたり日田市を中心にコメの収穫や乾燥調製作業を請け負ってきた。近年は高齢になって農業を引退した農地所有者から土地を預かり、自社による生産を増やしている。

 減反の廃止で平野部の大産地では生産を拡大しやすくなる。大規模化によって一層の効率化が進み、長期的にはコメの値下がりも想定される。飯田社長は「山あいでは平地のような低コスト化はできない」と条件不利地の農地を守る難しさを訴えた。

 中山間地の米作りの消長は消費者にとっても無関係ではない。

 「大分の内陸部のコメは県外でも味の評判が高い。県内外からニーズはあるが作り手がどんどん減っている」

 こう話すのは大分市の徳丸米穀店の徳丸勝也代表取締役(73)。各地の農家からコメを買い取る県内有数規模の集荷業者で、県外にも販売する。減反廃止を待たず、高齢化によってここ数年で、一気にコメ農家の廃業が増えたと感じている。「『先祖伝来の農地を守るため』と、もうけを考えずコメを作ってきた人たちが引退し、後継者もいない」と打ち明け、大分のおいしいコメの将来を危惧した。

 コメを取り巻く状況が大きく変化する中、中山間地の米作りには何が必要か。

 県内の集落営農組織の経営を研究する別府大学国際経営学部の森宗一専任講師(経営戦略論)は「地域の農地をこれからどうしたいのか、そのために幾ら必要なのかを考えるべきだ」と指摘。県内ではコメを主な収入源としない兼業農家が多くいることも踏まえ「後継者づくりを考えると、損得に関係なくコメを作っている人も含め、将来像を実現するためにいかに収益を得ていくか、改めて計画を立てる必要がある」と提言する。

 減反廃止のもたらす変化を通じ、地域の行く末を考える時が来ている。