MHPS長崎工場 石炭ガス化炉 初出荷

 長崎市香焼町の三菱日立パワーシステムズ(MHPS、横浜市)の長崎工場で22日、石炭ガス化複合発電(IGCC)プラントの中核となる石炭ガス化炉の出荷が始まった。昨年6月に完成した新工場で製造した初号機。福島県いわき市の発電所向けで、同社は「最先端の高効率発電技術により環境負荷軽減や福島の復興に貢献したい」としている。
 IGCCは、石炭をガス化した燃料でガスタービンを回し、さらにその排熱で水を沸騰させ蒸気タービンも回して発電する。従来の石炭火力と比べ発電効率が約15%向上し、二酸化炭素(CO2)排出を低減できる。新工場は、高温高圧に耐えうる製品をより短期で造るため、独自開発の自動溶接装置やITを駆使した工程管理を導入した。
 22日は現地で安全祈願祭があり関係者約150人が出席。炉の一部(全長16メートル、重さ非公表)をクレーンで運搬船に積み込んだ。今後、付帯機器を順次出荷する。
 現在製造中のプラントは2基で、どちらも出力54万キロワット。三菱重工業や東京電力などが出資する二つの合同会社が1基ずつ発注した。1基目は2020年に、2基目は福島県広野町で翌21年に稼働予定。これ以降の受注はまだないが、同社はタイやポーランドなど海外で調査、交渉を進めているという。

クレーンで積み出しされる石炭ガス化炉=長崎市香焼町、MHPS長崎工場

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