熊本城内の戌亥櫓など5棟、倒壊恐れ 対策手付かず

20日午後、倒壊した元太鼓櫓(熊本市提供)
熊本城の戌亥櫓。「倒壊のおそれ」があるとされている=1月5日撮影

 熊本地震で被災した建物の一つ、元太鼓櫓[もとたいこやぐら]が倒壊した熊本城内には、「倒壊のおそれがある」とされている建物がほかにも5棟ある。2016年4月の地震以降、これらの倒壊防止策はほぼ手付かず。梅雨のさなか、現実に1棟が崩壊したことで、手当てしていない建物の危険性が浮き彫りになった。

 城内の多くの石垣や建物は、熊本地震で崩れたり、傾いたりした。市は被害報告書や復旧基本計画で、元太鼓櫓を含む建物7棟を「倒壊のおそれ」があると認定。国重要文化財の平[ひら]櫓のほか、戌亥[いぬい]櫓、西大手門などで、このうち飯田丸五階櫓だけを今月までに工事で解体した。

 元太鼓櫓は03年に復元された木造一重の建造物。地震で土台の石垣が大きく崩れ、建物も傾いていた。前日から大雨となった20日の午後5時ごろ、突然倒壊。近くにいた市シルバー人材センターの吉成文男さん(70)は「バキバキッとすごい音がして、土ぼこりが立っていた。一瞬の出来事で何だろうかと思った」と振り返る。観光客などは近寄れないため、人的な被害はなかった。

 市の熊本城総合事務所は「傾きや土壁のひび割れがあり、雨が染み込んだことで重みが増したのではないか」とみている。

 城域全体の復旧工事の中で、市は天守閣復旧と飯田丸解体などを最優先。6棟の建物について、南大手門を除く5棟の倒壊対策は手付かずとなっていた。

 総合事務所は「復旧の優先順位と(市民らの)安全性を考えて工事を進めてきた」と説明。地震後は広い範囲で立ち入りを禁止しているため、市民や観光客の安全性は確保されているとする。

 ただし、これら建物はいずれ工事で解体するなどして、復旧する予定だ。その前に自然に倒壊すれば、部材を再利用しにくくなったり、土台の石垣がさらに崩落したりする恐れも出てくる。

 総合事務所は「倒壊の恐れがある建造物については今後、応急工事を含めて検討していく」としている。(飛松佐和子)

(2018年6月23日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

©株式会社熊本日日新聞社

紙面を彩った火の国球児たち

「夏の甲子園100回」を記念し、熊本出身のスターたちの〝球児〟時代を取り上げます。 第3弾は「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治(熊本工出、人吉市出身)です。

ご購入はこちらから