経営統合「何としても」 十八銀株主総会で森頭取

 十八銀行は22日、長崎市銅座町の本店で株主総会を開いた。森拓二郎頭取はふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)との経営統合について「百年の計で踏み出した道。何としても実現したい」と改めて意欲を見せた。県内の全取引先を対象にした借り換えに関する意向調査については、ほぼ終えたと報告し、来月にも公正取引委員会(公取委)との大詰めの交渉に入る見通しも示した。
 統合を巡っては、独占禁止法に基づいて審査する公取委が、FFG傘下の親和銀行(佐世保市)と十八銀が合併した場合、企業向け融資の県内シェアが約7割に高まることを問題視し、審査は長期化。計画実現が難航する中、銀行側はシェア調整を図るため、5月から約1万6千社を訪ね、他の金融機関に借り換える意向がないかを確認した。
 総会は非公開。同行や出席者によると、昨年より35人少ない215人が出席した。森頭取は人口減少の進行を踏まえ、経営基盤の強化や地域活性化を目的とする統合の意義を強調した。
 借り換えが収益に与える影響について、株主から尋ねられた森頭取は「本年度の決算への影響はない。長期的にも統合によるシナジー(相乗)効果でカバーできる」と答えた。このほか、株主からは統合が失敗した場合に備え、他の金融機関の戦略を参考にしてほしいという意見も出たが、統合への反対はなかった。
 総会後、株主からは「親和との過度な競争は続けるべきでない。公取委を納得させるにはシェアを落とすのもやむを得ない」(77歳男性)、「地域が衰退する中、公取委には統合のメリットにも目を向けてもらいたい」(81歳男性)と銀行の方針に理解を示し、早期の統合承認を求める声が目立った。一方で「借り換えの金額を積み上げるのは無理がある。公取委を納得させるのは難しい」(74歳男性)との声もあった。

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