W杯「交流深める熱戦を」 在日セネガル人も応援

 キックオフが迫る日本の第2戦を心待ちにする在日セネガル人男性がいる。来日約30年のフランス語教師、ディウフ・マサンバさん(59)=横浜市保土ケ谷区=は「差別や偏見を乗り越えて、日本人と仲良くなれたきっかけがW杯だった。今回も、もっとセネガルのことを知ってもらうチャンス」と話す。

 西アフリカの端にある「平和で貧しい国」(マサンバさん)がサッカー界で注目されたのは、初出場で8強入りした2002年の日韓大会だった。「あの時から、日本人の反応が『セネガルってどこ?』から『あのセネガル出身なのか』に変わったんです」と懐かしむ。

 留学先のモロッコで知り合った日本人女性と結婚して1990年に来日したが、当時は差別を受けてきたという。「電車に乗れば隣の席の日本人が離れていく。くさいとか危険とか言われることも多かった。この社会には暮らしたくない、帰りたい、と何度も思った」

 それを思いとどまらせた理由の一つが、母国のサッカーの躍進だった。幼少時代に、はだしでストリートサッカーに興じたマサンバさんは「文化や習慣、価値観が違ってもサッカーは世界共通。日韓W杯の後に話し掛けてくれる日本人が増えた」と振り返る。

 母国の小中学校などに教科書や文房具を贈る任意団体「バオバブの会」の代表を務めており、W杯をきっかけに活動への理解も進んだ。8月に還暦を迎え、日本での生活がセネガル時代より長くなるというマサンバさんは、「両方とも応援するから、どちらが勝っても私は負けないんです」とうれしそうに語った。

日本戦のキックオフを心待ちにするマサンバさん =横浜市内

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