【独自】はれのひ元社長、3500万円詐取容疑認める

 今年の成人の日を前に突然営業を取りやめた振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」(横浜市中区、破産)が、粉飾した財務書類で銀行から融資を受けたとして、神奈川県警捜査2課と伊勢佐木署などは23日、詐欺の疑いで、茨城県出身で住所不定、同社元社長(55)を逮捕した。捜査関係者によると、元社長は粉飾した書類を示して融資を受けたことについて、大筋で容疑を認めているという。

 逮捕容疑は、2016年9月30日、横浜市内の銀行支店で、売上金約5千万円を架空計上した15年9月期の決算書類など、虚偽の財務書類を示し、千葉県柏市での新規出店に伴う融資名目で現金約3500万円をだまし取った、としている。県警は融資を受けても返済する意思も能力もなかったとみて、混乱を引き起こした上に破綻に至った経緯を調べる。

 元社長は23日午後、滞在先の米国から成田空港に帰国。チェック柄のシャツに黒いリュックサックを背負い目から下を覆う大きなマスクを付け、同空港の地下通路に姿を現した。捜査員に伴われ、終始うつむき加減で待機していた県警の車両に乗り込んだ。県警は車で横浜市の県警本部に同行し、調べを進めた。

 同社は、今年1月8日の成人の日を前に店舗を閉鎖し、横浜市などで晴れ着を着られない新成人が相次いだ。元社長は、同社の破産手続きの開始決定を受けて同26日に横浜市内で記者会見し、融資を受けるために財務書類を偽ったかを問われ「ありません」と回答。詐欺の認識については「必死で社員も私も営業をかけていた。そういうつもりは毛頭なかった」と説明していた。

 今月20日に開かれた同社の債権者集会で、破産管財人は債権者の総数は約2500人で、負債総額は10億8500万円に上っていたことなどを報告。元社長は姿を見せていなかった。破産管財人によると、同社は14年4月~16年11月に、横浜や横須賀をはじめ1都4県に6店舗を新規出店して規模を拡大する一方、借入金の残高が急増し、16年9月期末には債務超過に陥っていた。

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