【はれのひ元社長逮捕】てるみくらぶ先例が突破口

 今年1月の成人の日以降、神奈川県警には「はれのひ」(横浜市中区、破産)に関する新成人や家族らからの相談が400件以上、寄せられた。「多くの新成人の被害者がいる。あらゆる手を駆使して立件する」(捜査関係者)-。県警は社会的反響の大きさも踏まえ、捜査2課を中心に、1月中に同社の経営実態の把握に着手。半年ほどで元社長(55)を詐欺容疑で逮捕した。

 立件に当たり、被害者に据えたのは金融機関。虚偽の財務書類を示し融資金をだまし取った疑いに着目した。昨年11月には同様の手法で警視庁が経営破綻した格安旅行会社「てるみくらぶ」を同容疑で立件した先例もあった。

 県警はこれを突破口に「新成人に対する不当行為についても厳正に対処する」(幹部)構えだ。一方で、ハードルは高いと指摘する声もある。捜査関係者は一般論と前置きした上で「顧客との契約を履行できずに破綻する企業は無数にある。『だます意図』を立証するのは相当難しい」と漏らす。新成人がはれのひ側と契約した内容や時期もさまざまで、「被害者と、そうでない人の線引きをせざるを得ない」とも明かす。

 債権者集会では、同社側に資産はほとんどなく、債権者への配当は不可能との見通しが示されており、新成人の被害救済が進むかは見通せないのが実情だ。

大勢の報道陣が集まった「はれのひ」の会見=2018年1月、横浜市中区

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