朝鮮戦争について聞く

 朝鮮戦争のことを韓国では625(ユギオ)戦争と呼ぶ。1950年の6月25日に火ぶたが切られたからだ▲一つの民族が北と南に分かれて戦い、朝鮮半島のほぼ全土を巻き込んだ末、3年1カ月後に休戦協定を結んだ▲韓国のテレビでは毎年6月25日前後に、ドラマやドキュメンタリーなどの関連番組が放送されるという。「ただ、最近の若い人はあまり興味がないようだけれど」と長崎在住の40代韓国人女性▲開戦からあすで68年。時の経過に伴い戦争の記憶の風化が進むのは、日本だけではないようだ。20代の韓国人留学生は「625戦争についてどう思うかと聞かれて、ちゃんと答えられる学生は10人中2人ぐらいでは」▲親が生まれた時から分断国家だった世代には、北朝鮮と戦争を継続しているという緊張感はないという。だが、韓国社会で長く唱えられてきた「私たちの願いは統一」というスローガンについては冷めている。別の留学生は「統一には賛成」と言いながら「でも、私たちの時代に統一するのはやめてほしい」と言う方に力がこもった▲国の予算が統一対策に回ることで自分たちの生活が影響を受けるのは嫌だ-という本音がある。そんな本音と国家の悲願との距離は、より若い世代で広がっているように感じる。これも長い歳月が流れたせいなのだろう。(泉)


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