【MLB】父母はプロバレリーナ メジャーで羽ばたく異色のドイツ出身25歳外野手

ツインズのマックス・ケプラー【写真:Getty Images】

ツインズ4年目ケプラーが選んだ野球の道

 国際化が進むメジャーだが、その大半は中米もしくはアジア出身の選手が多い。今季開幕ロースター入りした米国外出身選手は254人。そのうち224人がカリブ海周辺の中米諸国出身で、アジア出身選手は15人、カナダ出身選手は6人だった。残り9人の内訳はオーストラリア3人、ブラジル3人、ドイツ1人、リトアニア1人、オランダ1人、南アフリカ1人。少しずつではあるが、ヨーロッパ、アフリカ出身の選手が存在感を示しつつある。

 数少ない欧州出身選手の中で、ツインズの正外野手として欠かせない存在になっているのが、ドイツ出身の25歳、マックス・ケプラー外野手だ。ポーランド人の父とアメリカ人の母は揃ってプロのバレエダンサー。ベルリンの劇団で演じる2人が授かったのがマックスだった。

 ドイツと言えばサッカーの強豪国として知られ、子供たちの多くは幼い頃から公園でサッカーに興じる。もちろん、ケプラーもサッカーボールを追いかけた。ただ、他の子供と少し違っていたのは、母の生まれ故郷・アメリカに帰るたびに野球も身近に感じていたことだ。ベルリンでは、ドイツ語と英語のバイリンガル学校に通い、サッカーと野球、そしてテニスに明け暮れた。「子供のレベルだけど、テニスもそこそこ上手くて、シュテフィ・グラフ基金から奨学金の依頼がきたんだ」と振り返る。

 サッカーもドイツ・ブンデスリーガに所属するヘルタ・ベルリンの下部組織でプレーしたほどだが、やはり一番好きなのは野球だった。ベルリンにもリトルリーグチームはあったが、わずか3チームだけ。「野球場もあったけど、時にはサッカー場で練習することもあったんだ。チームが少ないから、なかなかハイレベルな戦いはできなかったんだけど、それでもやっぱり毎年アメリカに行くと見ていた野球に惹かれたんだ」と話す。

「好きという気持ちを貫き通せば、夢は叶うと思う」

 10代半ばの多感な時期に「実はあまりいい生徒ではなかったんだ」というケプラーは、ドイツの高校からフロリダ州フォートマイヤーズにある高校に編入した。フォートマイヤーズといえば、ツインズがキャンプ施設を置く場所。ここでのプレーがスカウトの目に留まり、2009年に海外アマチュア選手としてツインズと契約を結んだ。同じ年に契約したのが、今やチームを代表する主砲となったミゲル・サノだった。

「ヨーロッパではオランダやイタリア、チェコが野球が盛んだけど、ドイツはまだそこまで野球が浸透していない。そんな中で野球を続けることは大変だったけど、好きという気持ちを貫き通せば、夢は叶うと思う」

 待望のメジャーデビューは2015年9月27日のタイガース戦だった。翌年から外野のレギュラーに定着し、今年で足掛け4年、実質3年目のシーズンを送る。ここまで2年連続で15本塁打60打点以上を記録。今季もここまで71試合に出場し、8本塁打28打点を挙げている。やや大振りな側面もあるが、打撃の確実性を増すためにも、クラブハウスで打撃コーチと身振り手振りを交えながら、打撃論に花を咲かせることは日常茶飯事だ。

 これまでメジャー史に名を残したドイツ生まれの選手はケプラーを含め42人。ドイツ生まれ、ドイツ育ちの誇りを持って、ドイツで野球選手を目指す子供たちの目標となるためにも、さらなる飛躍を目指して精進する。

(Full-Count編集部)

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