ビールはどうして苦いの?今さら聞けない、ビールのはなし。

こんばんは!「いつでもビール、どこでもビール、いつまでもビール」のライターきのこです。 ところで皆さん、ビールがどうして苦いのか」ご存知ですか?

答えは「ホップ」を使っているからです。ビールの原料となるホップ、緑の植物というのは知ってるけれど、どんなものなんでしょう?

知っているとちょっとビールが美味しくなる『今さら聞けない、ビールのはなし』。今夜は「ビールの苦みをつくりだすホップ」について掘り下げていきます!

これまでの記事黒ビールってどうして黒いの?生ビールの『生』ってなあに?

「ホップ」ってなに?

ビールつくりに欠かせない多くの役割を持つため、「ビールの魂」とも呼ばれるホップ。アサ科カラハナソウ属のつる性の多年生植物の一種です。

【ホップの特徴】 ・主な生産地:冷涼で乾燥した地域
・主な生産国:ドイツ、アメリカ、チェコなど
・主な国内生産地:北海道、青森県、岩手県、秋田県、山梨県など
・品種:全世界で100種類以上が生産されている

岩手県遠野市のホップ畑にて。筆者の身長は153cm。

収穫期には高さ7m~12mまで成長し、緑色の松ぼっくりのような形になります。これは球花(きゅうか)と言い、「毬果」や「毬花(マリハナ)」とも呼ばれます。

収穫前のホップ

ホップは雄株と雌株が別々の植物で、ビール醸造では未受精の雌株の花が使われます。雌株を割ると、中心部(苞のつけ根)に付着しているのが、黄色の粒「ルプリン」。

たくさんの香りや苦みの成分が含まれているこの「ルプリン」、ビールの苦味を生み出すのに重要な役割を果たします。さらに深掘りしていきましょう!

どうやってビールを苦くするの?

ビールが苦いのは「ホップを使っているから!」ですが、どのようなタイミングで、どのように使えば苦くなるのか気になりませんか? まず、ビールのつくり方を簡単に知っておきましょう!ビールは、以下のような工程でつくられます。

1. 原料選び 2. 製麦 3. 粉砕 4. 仕込み←ホップ登場! 5. 発酵 6. 熟成 7. ろ過・熱処理 8. パッケージング *詳しくは関連記事へ:【入門ガイド】ビールってどうやって造られているの?

ホップが登場するのは、4番目の「仕込み」工程。甘くなったもろみをろ過してできた麦汁に、ホップを入れて煮沸すると、ビール特有の爽やかな香りと苦みが麦汁につきます。

【入門ガイド】ビールはどうやって造られているの?より抜粋

ここで、先ほど紹介した黄色の粒「ルプリン」に注目しましょう。 「ルプリン」には、たくさんの香りや苦みの成分が含まれており、その内の一つ「α酸」は、熱が加わることで「イソα酸」に変化します。この「イソα酸」が「苦み」の主成分です。

一般的に、ビールを苦くするには次の条件が必要と言われています。

「煮沸する時間を長くすること」とありますが、あまり長く煮沸してしまうと、香り成分が揮発してしまいます。そのため、醸造家は苦みと香りのバランスを考えて、ホップの使い所を決定します。 異なる種類のホップを組み合わせたり、使用量、煮沸時間、煮沸釜に入れるタイミングを変えてみたり…。細かい点まで考え抜いて、美味しいビールをつくっているんですね。同じホップを使用しても、同じ味わいにならない理由はここにあります。

苦さの目安となる「IBU」

ここで、ビールを注文するときに役に立つ、一つの言葉を覚えましょう。 苦みの成分「イソα酸」がどのくらい含まれているかを示す、『IBU(International Bitterness Units/国際苦味単位)』という言葉です。

最近ではビアパブのメニューなどで、ビールのスタイル(種類)、アルコール度数に加え、「IBU」が提示されているところも多くなってきました。

大手ビールメーカーの標準的なビールの「IBU」は15~30くらいと言われていますが、ビールによって数値はさまざまです。中には「IBU1000」という驚異的なビールも…!

【関連記事】世界最恐のビール「1000 IBU」が、想像を超えるビールだった。

「IBU高い=苦い」とは限りません。

ここでひとつ注意。普通に考えれば「IBUが高い ➡︎ 苦み成分が多い ➡︎ 苦い」と思いますよね。 しかし、味の感じ方は苦み以外の要素も含まれるので、IBUが高くても苦く感じないことがあります。

例えば、苦くて飲めなかったエスプレッソに砂糖を入れたら、なんとか飲めるようになったという経験はありませんか? それは甘みが苦みを相殺したからです。 また、味覚は個人差があり、天候や体調によっても変わると言われています。「IBU」を「苦さの目安」と捉え、近い値でも感じ方が違うという体験をしてみてはいかがでしょうか?

「ホップ」ってすごい!

ここまで主に「苦み」について説明してきましたが、ホップの役割はこれだけではありません。次のような役割を持っていると言われています。

また、ホップの香りにはリラックス効果や安眠を促す効果などがあり、その他に利尿作用、食欲増進作用、消化促進作用などがあると言われています。また、認知症の予防効果、体脂肪低減効果などの薬理効果についても研究が進められています。

ホップを知ってもっとおいしく!

今回は「今さら聞けない、ビールのはなし」第3弾として、「ビールの苦みをつくりだすホップ」をテーマに取り上げました。いかがでしたか?「ホップ」のこと、もっと知りたくなりましたか?」

ホップを育てるプロジェクトや収穫するイベントなどが、各地で開催されています。ホップに心惹かれた方は、是非、参加してみてください。 ビールのことを知れば知るほど、よりビールが美味しく、楽しくなります。ビール女子の皆様がよりよいビールライフを過ごせますように。乾杯!

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(イラスト:竹内巧

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