日産吹奏楽団、出前公演に力 厚木の高齢者施設で名曲響かせ

 地域に響け、交流のメロディー-。日産自動車の技術開発拠点「日産テクニカルセンター」(厚木市岡津古久)の社員らでつくる吹奏楽団が、活動の幅を広げている。これまで主に社内行事で演奏してきたが、地域との交流を深め、演奏の腕前を上げる自信につなげようと、昨年度から“出前コンサート”を開催。23日は同市内の老人介護施設を訪れ、名曲の数々を響かせた。

 お年寄りが集うホールに、フルートやトランペットの音色が響く。楽器ごとのグループに分かれ、「川の流れのように」「青い山脈」「上を向いて歩こう」など往年の名曲を披露すると、会場から手拍子と歌声が上がった。

 23日に楽団員20人ほどが訪問したのは、厚木市中町の通所介護・居宅介護支援事業所「えまーぶる」。演奏に聞き入っていた入所者の男性(77)は「胸がいっぱい。(演奏で)明るい気持ちになれた」と笑顔を見せた。

 活動しているのは、同センターや「日産先進技術開発センター」(同市森の里青山)などの社員ら計約40人で構成する「日産自動車吹奏楽団」。2015年に社公認のサークルとして活動を開始。社内施設で週3回の練習日を設け、音を合わせる。昨年度から依頼に応じ、演奏に出ている。

 楽団長の鈴木康慎さん(42)は「演奏を喜んでもらえる姿に私たちも元気をもらい、さらなる演奏技術向上のモチベーションになる」。他の楽団員も「日産の存在を身近に感じてもらえるのがうれしい」「社内外に人のつながり、仲間が増えた」などと話す。

 今後は厚木、伊勢原両市を中心に、さらに活動の場を広げていくという。

お年寄りを前に演奏を披露する日産自動車吹奏楽団の楽団員ら=厚木市中町

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