国民の99.6%がW杯を見ていたアイスランド。実は10代の投票率が高いことでも有名です。その理由とは?

連日熱戦の続くワールドカップ。なかでもアルゼンチンと引き分けたアイスランドの奮闘に目を奪われた方も多いのではないでしょうか。

アイスランドの人口は約34.9万人と、日本で言えば埼玉県川越市(35.3万人)や大阪府高槻市(35.0万人)、東京都北区(34.8万人)と同規模の国の奮戦は世界中で話題を呼んでいます。

アイスランドのサッカー協会は、同国にとって初めてのワールドカップでの試合となったアルゼンチン戦を、同時間帯にTVを見ていた人の99.6%が視聴していたことをTwitterで発表しています。
同試合で貴重な同点ゴールを決めたフィンボガソン選手は協会の投稿を引用しながら、
「残りの0.4%はピッチにいたんだよ」とツイートしています。

さて、そんなアイスランドは投票率もすごいことをご存知ですか?

投票率が80%を超えることも!10代投票率も高いアイスランドの選挙事情

図表1はアイスランドの最近の年代別投票率をまとめたものです。

比較対象として、日本の衆院選(2017年)の年代別投票率もプロットしていますが、日本の投票率よりもかなり高い水準にあることがわかります。

特に注目したいのが若者の投票率です。同じ2017年に行われた総選挙で、アイスランドの10代投票率が75.2%であったのに対して、日本の10代投票率は41.5%と30%以上の差があります。20代前半の投票率では、アイスランド69.6%、日本30.7%とその差はさらに広がります。
北欧の国における若者への政治参画の促し方には学べるところが多そうです。

女性の政治参画も進んでいます

アイスランドでは多くの女性議員が活躍しています。図表2では2003年以降の女性議員の割合をまとめていますが、2017年の総選挙では当選した議員の38.1%が女性議員でした。また、女性議員の割合は近年40%以上となっており、2016年の総選挙では議員の約半分が女性議員となっていたこともわかります。なお、アイスランドでは2000年代に入ってから、現首相を含む2人の女性首相が誕生しています。

ちなみに、日本の女性議員の割合は10.1%ですので、両国の間には大きな違いがあることもわかります。

世界で初めて男女の賃金格差を禁じる法律を制定する等、アイスランドでは性別格差を乗り越えるための先進的な取組が積み重ねられています。その取り組みは、世界経済フォーラムによる、ジェンダー・ギャップ指数(注1)のランキングおいて最も男女格差が少ない国に位置づけられているなど、高い評価を得ています。なお、日本は144か国中114位となっています。
注1:各国における男女格差を測るために、経済、教育、政治、保健の4つの分野のデータから作成される指標

ワールドカップで目にするあの国は?

ワールドカップ序盤戦での奮闘著しいアイスランドの選挙事情をご紹介しましたが、熱戦に心躍らせつつ、出場国の政治状況もちょっと調べてみる。そんな風にして、ワールドカップをきっかけに、世界とつながっていくのも面白そうですね。

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