最後の夏、勝って校歌を 来春閉校の多良木高野球部 県大会目前、練習に熱

投球練習する古堀廉大選手(右)と齋藤健二郎監督=多良木町

 県立高再編で来年3月に閉校する多良木高(熊本県多良木町)の野球部にとって、出場する最後の大会となる全国高校野球選手権熊本大会の開幕が来月1日に迫っている。監督や選手たちはさまざまな思いを胸に“最後の夏”を迎えようとしている。

 チームを率いるのは県内現役最年長の齋藤健二郎監督(69)。校長や教員として多良木高で14年もの時間を過ごした。定年退職後の2010年、同校の野球部監督に復帰。自らの「原点」とも言える学校が来春、閉校を迎えることになり、「練習試合の相手の監督に『また来年もよろしく』と言えないのが残念」とつぶやく。

 3年生のみの野球部は選手18人、女子マネジャー6人。「最後の学年は9人そろうのか心配だった」と打ち明ける齋藤監督。「閉校が分かっていて入学してくれた今の生徒たちは特別な存在。自分の思いのすべてをぶつけてきた」

 夏の大会で選手宣誓が平野光主将に決まるなど、注目は日に日に高まるが、選手たちは黙々と練習に励む。6月下旬、エースとして大会に臨む古堀廉大[れんた]さんも、キャッチャーに向かって力強いボールを投げ込んでいた。

 中学校を卒業するまで東京に住んでいた古堀さん。両親が多良木高出身で、中3の夏休みに野球部の練習を見学し、雰囲気の良さに魅力を感じて、祖父母が住む地域に移り住む“孫ターン”での入学を決めた。隣のあさぎり町にある母方の実家で祖父母と暮らし、自転車で通学している。

 初めは「道端で知らない人同士があいさつするのに驚いた」と言う古堀さん。「体育大会や文化祭にも大勢の人たちが来てくれて、学校と地域のつながりの強さを実感した」と高校生活を振り返る。

 30日には同校グラウンドでの最後の試合として、甲子園常連校の鹿児島実業高との練習試合に臨む。古堀さんは「簡単には勝てない相手だが、立ち向かっていきたい。地域の人も見に来てくれると思うので、多良木高生の元気な姿を見せたい」と意気込む。

 「本当は最後の夏というのを意識しないで、いつも通りプレーさせてあげたいのだけど」と“親心”をのぞかせる齋藤監督。「大会では卒業生の皆さんに、1回でも多く校歌を歌ってもらいたい」と本番を見据えていた。(園田琢磨)

(2018年6月25日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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