【新社長】〈吉田虎・檜久美子氏〉建築関連事業にも注力 次世代に継承すべく、既存事業を強化

 6月1日付で4代目社長に就任。「〝継続は力なり〟をモットーに、無借金経営を貫き、次の世代に継承していくため、社員一丸となって事業強化に取り組む」と抱負。吉田虎は鉄鋼二次製品の流通、フェンスの施工事業を展開しているが、今後は「建築関連を本格的に事業化する」と話す。

 「100周年を迎える3年後には、元気な吉田渡会長を含めた従業員全員で売上高10億円以上の目標を達成する」という。同社の前3月期の売上比率はフェンス工事9割、鉄鋼二次製品の流通販売1割。今後は2事業に加え、建築関連事業にも注力する。

吉田虎・檜社長

 足元の関西におけるフェンス工事の需要は、案件が少なく、厳しい状況が続いている。その中で、公共関連だけでなく、大手・中堅ゼネコンなどの民需獲得も狙う。そのためにも、「当社にはフェンス工事専属の職人がおり、今後は職人を増やしていくための教育に注力する」方針だ。同社のフェンス施工は、美観や耐候性に加え、施工後のクレーム処理などにも細心の注意を払い、顧客満足度を高めている。取り扱うフェンスメーカーは、朝日スチール工業、JFE建材フェンス、積水樹脂など。

 鉄鋼二次製品の流通に関しては、足元の価格転嫁が最重要課題。成熟市場の中で、きめ細かな営業を展開していく考えだ。同社が取り扱う鉄鋼二次製品は、ナマシ鉄線に関してはハンナンと安田産業、特殊釘はアマテイ。

 第3の事業として、フェンス工事の施工や鉄鋼二次製品の流通で培った技術・ノウハウを生かして、建築関連事業に着手する。「今後はCADなども取り入れ、屋根・壁材の販売も手掛けていく」と語る。

 そのほか、ホームページのブログといったSNSを活用して、企業情報を発信し、認知度向上および採用活動の充実などを図る。来期は若手営業マンを2人採用する予定。

 趣味は書道とバドミントン。休日は静と動の趣味で心身をリフレッシュする。書道は準師範の資格を有し、「将来的には師範の資格も取得する」と熱く語る。(綾部 翔悟)

 略歴

 檜 久美子氏(ひのき・くみこ)1988年甲南女子大学文学部卒、ユアサ商事入社。2005年吉田虎入社、09年経理部長、09年取締役経理部長、16年専務取締役、18年6月より現職。1964年(昭39)7月24日生まれ、53歳。大阪府出身。

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