日産スタジアム、芝は天然&人工 ハイブリッドに全面張り替え

 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京五輪に向け、横浜市は競技会場となる日産スタジアム(同市港北区)の芝全面を張り替える。天然芝から人工芝も組み合わせたハイブリッド芝へ-。新技術の導入によりピッチの耐久性を高め、世界最高峰の激しい戦いを万全態勢で迎える。

 1998年のスタジアム開設以来、全面張り替えは初めて。20年間育ててきた天然芝はJリーグのベストピッチ賞を計4回受賞し、02年のサッカーW杯日韓大会の決勝戦の舞台となったことでも知られる。

■負荷大きく

 張り替えの理由は約1年後に迫るラグビーW杯日本大会だ。スクラムなどがあるラグビーは選手の踏み込みが強く、1試合当たりの芝への負荷が大きいとされる。W杯では44日間で決勝戦を含む7試合が日産スタジアムで行われる予定。「一番最後の決勝戦には芝がボロボロになる懸念があった」(市環境創造局)。

 実際、16年にトップリーグ公式戦が初開催された直後は芝がずれ込んだり、表面がでこぼこになったりしたという。ラグビーの国際組織やW杯組織委員会からの提案もあり、市は昨年、ハイブリッド芝導入を決定。約3億2千万円の整備費で、約7700平方メートルを張り替える。

■前例少なく

 日産スタジアムが導入するハイブリッド芝は人工芝などの補強材の上に天然芝を植え付け、天然芝の根が絡みつくことで強度を持たせる構造。表層は天然芝が主体で、見た目や手触りはほとんど変わらない。同局によると、ハイブリッド芝はサッカーが盛んな欧州では一般的で、15年のラグビーW杯イングランド大会では会場の7割が導入していた。一方で、国内はJリーグが昨年に規約を改定し、ハイブリッド芝を解禁したばかり。導入事例はノエビアスタジアム神戸などに限られる。

 日産スタジアムは、従来と同じ暖地型の天然芝(夏芝)を主体として人工芝を組み合わせることで、芝を管理する「グリーンキーパー」がこれまで培ってきた管理ノウハウや既存の機材を生かしたい考え。ただ、ハイブリッドならではの違いも想定され、同局は「当面は試行錯誤しながら、維持管理手法を確立していきたい」と話す。

■県外で育成

 一連の張り替え作業はJリーグの試合のない期間に限られるため、ハイブリッド芝は約11カ月間、埼玉県の畑で育成してきた。26日から5日間行われる設置工事の当日に10平方メートルずつ畑から切り出し、ロール状に巻いてスタジアムに運搬、敷設。7月下旬まで養生する。

 切り出し作業は砂が崩れやすいため、天候にも左右される。同局は梅雨空に気をもみつつ、「W杯決勝戦を最高のコンディションで迎えたい」としている。

 張り替え後初の試合は7月28日のJリーグの横浜Fマリノス-清水エスパルス戦となりそう。従来の天然芝は市内の公園や学校で使われる予定という。

従来の天然芝を切り出す作業員ら=14日、日産スタジアム

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