米政府職員の倫理・規律問題を監督する政府倫理局のウォルター・シャウブ前局長は２５日までに、サンダース米大統領報道官がトランプ大統領の報道官であることを理由にレストランから追い出されたことについて、ホワイトハウスのツイッターのアカウントで批判したことは、公務員の倫理・規律に関する連邦規則に「明白に違反する」と指摘した。
ワシントン・ポスト紙（電子版）などによると、サンダース氏は２２日夜、首都ワシントン近郊の小さなレストラン「レッド・ヘン」に入った際、トランプ大統領の分断をあおるような姿勢に反対する女性オーナーから店を出るよう求められ、応じたが、翌日ホワイトハウスのツイッターで「求められて礼儀正しく店を出た。彼女の行動は私自身より彼女自身についてはるかに多くのことを物語っている。今後も意見が合わない人を含め敬意を持って対応する」と書き込んでいた。
これに対し、シャウブ前局長は「サラ（サンダース氏のファーストネーム）、あなたが倫理・規律問題に関する規則を全く意に介さないことは知っているが、個人的な理由で私企業を批判するために政府の公式アカウントを使ったことは、明白な規則違反だ」とツイートした。公務員の倫理・規律に関する連邦規則は、公務員が個人的な目的のため公的立場を利用することを禁じている。
英デーリー・メール紙（電子版）によると、オバマ前政権時代に法律問題の大統領顧問を務めたイアン・バシン氏も「ホワイトハウスにいたころは、レストランの予約をするような個人的目的のために、ホワイトハウス職員である立場を利用するなと教えてきた。（サンダース氏の）ツイートも規則に違反している」と強調した。
サンダース氏は夫らと１０人近くで予約してレストランを訪問。女性オーナーは、移民や人種、性的少数者（ＬＧＢＴ）らに関するトランプ氏の政策は「非人間的で倫理観が欠如」しているとの考えから、従業員とも相談し、サンダース氏に「丁重にお引き取り願った」という。
ＣＮＮテレビによると、サンダース氏の父親であるアーカンソー州のマイク・ハッカビー元知事は店側の対応について「頑迷な行為だ。店では『ヘイト（嫌悪）プレート』を注文できうる」と皮肉るなど、ネット上ではレストランオーナーの行動について賛否双方の多くの意見が寄せられている。
オバマ政権でも政府倫理局長を務めてきたシャウブ氏は昨年７月、トランプ大統領の職務と事業の利益相反を批判するなどして辞任した。 （共同通信＝太田清）
