ハイペースで死球を受けるヤクルト青木宣親、その原因は打順にあり?

ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】

このままいくとシーズン終了時点で歴代2位タイ24個ペース

 今年MLBからNPBに復帰したヤクルトの青木宣親は、開幕から中軸に座って活躍している。目立っているのは死球の多さだ。

 青木の死球は6月24日の時点で11個。これは2位につける広島の會澤、ヤクルトの西浦、巨人のゲレーロの5個の倍以上だ。青木の1死球あたりの試合数は5.91試合。このペースでいくとシーズン終了時点での死球数は24個前後、これは史上2位タイとなる。

〇シーズン死球数5傑 ※数字は1死球あたりの試合数

1ラロッカ(オリックス)28(2007年136試合)4.86
2岩本義行(大洋)24(1952年120試合)5.00
3ラロッカ(広島)23(2004年122試合)5.30
3ガイエル(ヤクルト)23(2007年142試合)6.17
5城島健司(ダイエー)22(2004年116試合)5.27

 ラロッカが2度ランクイン。ラロッカは広島、ヤクルト、オリックスで活躍した助っ人外国人。オールスターでも死球を食らうなど、死球の多さが一種の売りになっていた。今年の青木は、2位の岩本義行に並ぶ可能性があるのだ。

 もともと青木は、体をぐっと沈めて投手の方に向かっていく打撃フォームで、NPB時代には2桁死球を5回記録している。しかし、MLBに移籍後は759試合で48死球。1死球に要する試合数は15.8と大幅に減っていた。これはNPBでは中軸打者だった青木が、MLBでは中軸を外れたことと関連があるだろう。MLBの投手は、本塁打の少ない青木に対しては警戒心が少なく、厳しい内角攻めも少なかったのではないか。

 NPBに復帰した今年、青木は1番が8試合、2番が22試合、3番が15試合、4番が17試合と中軸や上位を任されている。NPB投手は以前と同様、青木に対して厳しい内角攻めをするために、死球が急増しているのではないかと思われる。

1死球の試合数では9位 現役選手ではオリックス中島、楽天渡辺も

 NPBで80個以上の死球を記録した選手の1死球あたりの試合数10傑を見てみよう(※は現役)。

1ラロッカ 5.35(109死球/583試合)
2竹之内雅史 8.26(166死球/1371試合)
3バルディリス 10.8(85死球/918試合)
4井上弘昭 11.1752(137死球/1531試合)
5渡辺直人 11.1753(97死球/1084試合)※
6城島健司 11.71(113死球/1323試合)
7清原和博 11.93(196死球/2338試合)
8中島宏之 11.96(133死球/1591試合)※
9青木宣親 12.78(82死球/1048試合)※
10加藤俊夫 12.99(116死球/1507試合)

 1位のラロッカは別格として、現役では楽天の渡辺、オリックスの中島、そして青木が入っている。渡辺は投手の内角球に逃げない打者として知られる。中島は青木と同様、向かっていくタイプの中軸打者だ。

 NPBの最多死球は196個の清原和博。2122安打、525本塁打の強打者だが、何度も死球で故障欠場をしている。死球禍に悩まされた打者の代表格だ。

 青木の死球数の急増は、出塁率を考えればプラスだが、怪我をしてしまっては元も子もない。この数字が今後極端に増えることがないよう、うまくかわしてほしいものだ。

(Full-Count編集部)

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