千葉商科大学、ESG投資に10億円運用

千葉商科大学(千葉県市川市)はこのほど、ESG(環境、社会、企業統治)投資を開始した。投資額は10億円。大学がESG投資を行うのは珍しいケースで、同大学はESG投資を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)を推進する日本企業を後押しし、日本の持続可能な社会づくりに貢献したい考えだ。(オルタナ編集部=中島 洋樹)

ESG投資は三井住友信託銀行が運用を行う。5月25日からの6ヵ月間で4回に分け(スパンは1.5カ月)、1回ごとに2.5億円、合計10億円の投資を行う。

投資対象企業については、日本総合研究所に依頼し、国内の上場企業から、まず化石燃料と火薬といった指標でネガティブ・スクリーニングを行い、該当企業を選別し除外する。その後、企業のSDGsへの取り組みに則ったポジティブ・スクリーニングで投資対象企業を決定し、運用を行っている。

運用益は引き出して他の資金や費用に回すことはせず、原資とともにESG投資の運用に回す方針だ。運用期間は特に設けず、長期運用を行っていくという。一部報道にあった「運用益の奨学金への利用」は否定した。

昨年3月に就任した原科幸彦学長は、基本戦略として「学長プロジェクト」を打ち出した。プロジェクトは4つの部門「会計学の新展開」「CSR研究と普及啓発」「安全・安心な都市・地域づくり」「環境・エネルギー」から構成されている。

同大学を運営する学校法人千葉学園の内田茂男常務理事は、「ESG投資の目的である社会貢献活動が学長プロジェクトと合致したことも理由の1つ」と説明する。

同大学は再生可能エネルギーへの取り組みも進める。千葉県野田市にメガソーラー発電所を設置し、東京電力に売電している。今年3月には太陽光発電による電力消費100%を計算上達成した。

さらに本年度は日本初の「RE100大学」にすること、2020年度はメガゾーラー発電所などの発電量と大学での消費エネルギー量を同量にする日本初の「自然エネルギー100%大学」にすることを目標に掲げている。

内田理事は「今回のESG投資を通じて、運用益を期待するのはもちろんだが、ポジティブスクリーニングで選んだ日本企業を後押しし、日本の持続可能な社会の構築に貢献したい」と述べた。

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